大使館が建ち並ぶインターナショナルな街「広尾」環境編

2023.03.17

都内では麻布、松濤、白金などに並ぶ高級住宅街として人気の広尾。高級ヴィンテージマンションを代表する「広尾ガーデンヒルズ」のある広尾駅周辺はどんな街なのでしょうか。このエリアの魅力を「環境編」「生活編の前後編に分けてお伝えしていきます。

恵比寿・青山・六本木が徒歩圏内の好立地

広尾エリアの大きな魅力のひとつは利便性のよさにあります。恵比寿・青山・六本木などの人気の街が2km圏内。お天気が良ければ散歩がてら歩いて行ける距離です。利用できる路線は日比谷線のみですが、隣駅は恵比寿と六本木。虎ノ門ヒルズや銀座へは乗り換えなしで1本。渋谷、新宿、東京にも乗り換え1回、10分~20分弱で出られます。

天現寺交差点から広尾方面に走る外苑西通り。住居表示は、向かって左側が広尾(渋谷区)、右側が南麻布(港区)になっている。

大使館が集まるインターナショナルな街

都心の中でも特に大使館の多い広尾エリア。大通りから一歩入った高級住宅地に、フランス、ドイツ、スイス、チェコ、ノルウェー、オマーンなど、数多くの大使館が置かれています。

フランス大使館。大使館は意匠を凝らした建築も多く、それを見ながら散策するのも楽しい。
ヨーロッパハウスには欧州連合(EU)代表部とキプロス大使館が入っている。

そんな広尾を象徴するのが、世界各国の食材が一同に揃う「ナショナル麻布」。1962年にオープンしたこのスーパーマーケットは地元の外国人から絶大な信頼を得てきたほか、海外在住経験のある日本人にとっても貴重なお店です。

日本のスーパーとは一味違うおしゃれさに惹かれて訪れる日本人も多い。
「ナショナル麻布」近辺は外国人の姿も多く、インターナショナルな雰囲気。

武家屋敷町から高級住宅地へ

では、広尾駅周辺にはなぜ外国人が多く住むようになったのでしょうか。ここで歴史をさかのぼってみましょう。

広尾は江戸時代の初めまで、つくしが生えている広い野原で「土筆ヶ原」「広尾原(ひろおのはら)」と呼ばれていました。それが江戸時代中期になると下総国佐倉藩堀田家下屋敷や足守藩主木下家の屋敷など、数々の武家屋敷が建ち並ぶお屋敷町に変わっていきます。

さらに、明治維新を迎えると武家屋敷は宮家や華族の住居に姿を変え、やがてそれが大使館に転用されるようになりました。中でも大使館が特に多いのが外苑西通りの東側に位置する現在の南麻布3〜5丁目。ここは広尾の交差点付近から一段高い高台になっているため、欧米人にとっては辛い湿気を避けられたこと。各国の大使館がまとめて配置できたので警備上のメリットがあったことが、このエリアに大使館が集中した理由と言われています。

左:フランス大使館の塀に沿った「青木坂」は旗本の青木氏が屋敷を構えたのに由来する。 右:日赤通りを一本入ると個人の邸宅が並ぶ。
「広尾ガーデンヒルズ」から「堀田坂」を下るとすぐ西麻布交差点。

武家屋敷だった敷地を利用して教育施設、病院、公園などが設置されたことも、広尾が住みやすい街になった要因としてあげられます。

たとえば「日本赤十字社医療センター」の広大な敷地は堀田備中守の屋敷だった場所。散歩コースとして人気の高い「有栖川宮記念公園」は陸奥・盛岡藩の下屋敷が明治以降に有栖川宮邸として使われたのち、かつての庭園が公園として開放されました。

「日本赤十字社医療センター」
「有栖川宮記念公園」

このように文化的な生活を営む好条件が揃ったことで、外国人が心地よく安心して住める高級住宅地として広尾は発展していきました。

教育水準の高さを物語る2つの名門校

また、広尾駅西側の大きな面積を占めている「聖心女子大学」は、旧久邇宮邸の敷地を受け継いだ由緒正しいカトリック女子大。上皇后美智子さまの出身校としても知られるこの大学は、併設の「聖心インターナショナル」とともに広尾の格式の高さとインターナショナル性を象徴する存在です。

前身となった「聖心女子学院高等専門学校」は大正5年(1916年)開校。私学のミッションスクールとして100年以上の歴史を誇る。
聖心女子大正門は、大正時代に建てられた旧久邇宮邸(きゅうくにのみやてい)の正門をそのまま受け継いだもの。キャンパス内に現存する本邸の一部は通称「パレス」と呼ばれ、学生の課外活動や授業などの場として広く活用されている。正門、パレスともに平成 29 年(2017 年)に国の重要文化財に指定された。

広尾の教育水準の高さを語る上で忘れてならないのが、慶應義塾が運営する私立の小学校「慶應義塾幼稚舎」です。この男女共学の名門小学校があるのは、天現寺交差点の近くのかつては福沢諭吉の別邸だった場所。登下校の時間帯には都バスや地下鉄を利用するたくさんの幼稚舎生の姿を見かけます。

年月を経て魅力を増す「広尾ガーデンヒルズ」

広尾エリアがインターナショナルな高級住宅地として発展したのは、1950年代後半から。その背景には戦後のアメリカ軍駐留により、多数のアメリカ人とともに食べ物やファッションなど欧米の文化が根づいたことがあります。

60年代〜70年代を通して、垢抜けた外国風の佇まいで特別な存在感を放っていたこの街が、さらに注目を集めるきっかけとなったのが1980年代に誕生した「広尾ガーデンヒルズ」でした。

6.6ヘクタールという広大に敷地に全15棟1,181戸の居室を有する巨大なマンション群。

「広尾ガーデンヒルズ」は、東京の高級ヴィンテージマンションを代表する記念碑的なエステート。築35年以上を経た今も資産価値が落ちることはなく安定した人気を誇っています。その秘密は、ひとえに街並みの美しさにあると言っても過言ではありません。
外苑西通りを西麻布に向かって左に折れると道は次第に上り坂になり、ライトなレンガ色の建物が姿を現します。

敷地全体が都会のフォレストの中にあるような、豊かな緑に包まれていく感覚。ここは広尾駅周辺とは全くの別世界が広がっています。

緑の生い茂る季節の美しさは格別。

「広尾ガーデンヒルズ」が成功した理由としてしばしば指摘されるのが、敷地全体の優れたランドデザインです。英国のタウンハウスや街並みに着想を得たこのエステートでは、駐車場の大半が、建物の地下に設けられており、地上に豊かな緑を配したことで美しい街並みが実現しました。敷地内に電柱がないのも特筆すべき点。パリやロンドンの街が美しいのは電柱を地中に埋めて景観に配慮しているから。

年月を経て魅力が増す「広尾ガーデンヒルズ」には、歴史の長い時間にわたって豊かさを蓄積してきたヨーロッパの美意識が息づいています。

電柱のない景観はヨーロッパの街並みのよう。

武家屋敷の遺産を受け継ぎ、各国の大使館が集まるインターナショナルな街、広尾。名門教育施設の存在は、カジュアルで気取りのない雰囲気の中にもハイソサエティの気品を漂わせます。揺るぎない魅力で私たちを魅了する「広尾ガーデンヒルズ」は、そんな広尾の街にふさわしい希少なヴィンテージマンションと言えます。

いかがでしたか?  今回は広尾の『環境編』をお届けしました。

広尾エリアの魅力はハイグレードな住環境と、暮らしやすい生活環境の両方があるところ。

広尾駅からは恵比寿、六本木、銀座にアクセスしやすい上に、駅の周辺にはスーパーマーケット、カフェ、銀行、ドラッグストアなど、デイリーな暮らしに必要なお店はなんでも揃っています。

では、緑に囲まれた「広尾ガーデンヒルズ」や高台の静かな住宅地に住んだとしたら、どんな暮らしが待っているのか。

次回の「生活編」ではそのあたりを詳しくお伝えしますので、どうぞお楽しみに!

Text by Kyoko Hiraku
Photos by Taichi Sakamoto
         

MAIL MAGAZINE

   

こだわりの住空間やライフスタイルを紹介する特集、限定イベントへのご招待など、特典満載の情報をお届けします。

JOIN US

ベアーズマガジンでは記事を一緒に執筆していただけるライターを募集しています。

   
ページの先頭へ戻る
Language »