何気ない生活のワンシーンも楽しめる街『神楽坂』

2024.06.28

街歩きや美食の名店巡りなどを楽しむ人でにぎわう神楽坂。パリを思わせる石畳の路地を一歩抜ければ閑静な住宅地が広がります。古くからの戸建てが多い地域ですが、近年は新築の高級マンションも増え、子育て世代にも住みやすい街として人気上昇中。今回はそんな神楽坂にお住まいのIさんに、街での暮らしについて伺いました。

江戸時代から現在まで、栄え続ける粋な街

「神楽坂」という地名は、一説によると神社で奏でられる神楽が聴こえてきたことに由来しているのだとか。武家屋敷が並ぶ静かな環境でしたが、寛政4(1972)年に “毘沙門天” が他の街から移設されたことをきっかけに、大勢の参拝客で賑わい始めます。明治28(1895)年には甲武鉄道(現JR中央線)「牛込駅」(現在の飯田橋と市ヶ谷の中間にあった駅)が開通し、住宅地として、また都内有数の繁華街としても栄えていきました。

「毘沙門天善國寺」(1595年創建)。日蓮宗の寺院で、江戸時代より “神楽坂の毘沙門さま” として信仰を集め、大勢の参詣客で賑わった。
歌川広重が天保11(1840)年頃に描いた「広重東都坂尽 牛込神楽坂之図」。神楽坂の中腹から牛込御門をのぞむ構図で、左側に武家屋敷、右側に町屋が描かれ、当時の街の賑わいを窺い知ることができる。(出典:錦絵でたのしむ江戸の名所)

やがて多くの文豪がこの地に居を構えるようになり、昭和の時代に入ると高級料亭が軒を連ね、最盛期には600名以上の芸妓が花柳界を盛り上げたという記録も。その後、東京大空襲により街はほぼ消失しますが、戦後すぐに復興。石畳に黒塀の趣ある路地は残り、高級料亭のほかフレンチやバーなど、美食の街として今でも多くの人を魅了し続けています。

 今回はそんな神楽坂に2018年からお住まいのIさんに、街での暮らしについて伺いました。商社の第一線で活躍される一方、ワーキングマザーとして子育てにも奮闘中のIさん。街が暮らしの味方になってくれていると言います。

大手町から10分弱の距離にある風流な街

――はじめに、神楽坂に住み始めたきっかけを教えてください。

Iさん(以下、I):以前は品川区に住んでいたのですが、職場(大手町)により近い場所へ引っ越しを検討していました。小さな子どもがいることもあり、通勤しやすい場所にしたかったんです。そんな時、神楽坂に新しいマンションが建つと聞いて「ここだ!」と決めました。

――子育て中は時間に追われることが多いので、職場に近いというのは魅力ですね。

I:そうなんです。夜までウェブ会議が続く日は隙間時間に自宅に移動することもでき、職場の人に驚かれるんですよ。神楽坂は大手町から地下鉄で10分もかからず、職場から家までドアtoドアで30分以内。あまり住宅地としてのイメージがないかもしれませんが、住むにはほんとうに便利な場所です。

――街の印象は住み始めた頃と変わりましたか? 住み心地はいかがでしょうか。

I:最初は街の魅力というより利便性を重視して決めたのですが、今ではすっかりここでの暮らしが気に入っています。なにより、気持ちよく過ごせることが一番ですね。街の美化に対する意識も高くて、神楽坂は繁華街の一面もあるのに、とても快適に過ごせています。また、安心して暮らせる街でもあります。小学生の子どもがお友達とよく公園に遊びに行きますが、常に人の目があり人通りが途絶えないのであまり心配に感じません。人が多いといってもうるさいわけではなく、落ち着いた雰囲気があるところも好きです。

神楽坂のメインストリート。街の美化が進められ、街路樹もきれいに整備されている

子ども連れでも安心できる住環境が魅力

――子育て環境としてはいかがでしょうか。

I:とってもいいですよ!というのも、この地域は子育て世代が結構多いんです。学校や保育園も地域との交流がたくさんありますし、日頃も商店街や地域の皆さんに守られている感覚があります。子どもを連れて歩いてもピリピリした緊張感がないんですね。少し気を遣いそうな小洒落た飲食店でも、もちろん迷惑をかけないようにはしていますが、温かく受け入れてくれる雰囲気があり多少のことは大目に見てもらえます。また、子育て関連のお店や施設があちこちにあり、私は産後のセルフケア教室に通っていました。仕事とはまた違った、地域のお友達がたくさんできて、今でも時折会って楽しく過ごしています。

「新宿区立白銀公園」昭和18(1943)年に東京市立公園として開園した歴史ある公園。見晴らしがよく、夏になると園内のシャワーで水遊びもできる。

――街のお気に入りスポットはありますか?

I:「あさひ児童遊園」という小さな公園がお気に入りですね。静かで木漏れ日が気持ち良く、適度に遊具もあって、よく子どもを連れて行きます。ほっと落ち着けるお気に入りの場所です。街に小さな児童遊園が点在しているので、遊び場所に困ることはありません。大人だけで行く場所で言えば、「メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ」というフレンチレストランや周辺の小道が好きですね。フランスの街角のような雰囲気なんですよ!

――休日はどのように過ごしていますか?

I:近所で過ごす時は、パン屋さんの「メゾンカイザー」がお気に入りです。3席だけですがテーブルがあり、素敵なBGMを聴きながら頂くパンとコーヒーは絶品です。「キッチンコート」というスーパーマーケットは品揃えが良く、家族揃って楽しく買い物をする時間が好きです。天気が良ければ飯田橋の「カナルカフェ」に行ったり、少し足を延ばして「東京ドームシティ アトラクションズ(旧:後楽園ゆうえんち)」に行くこともあります。自転車で気軽に行ける距離なんですよ。車で遠出をする時も高速道路の入口が飯田橋にあり、どの方向へ行くにも便利です。

飯田橋のお堀に浮かぶ水上カフェ&レストラン「カナルカフェ」

――最後に、Iさんにとって、“豊かな暮らし” とはどんなものでしょうか。豊かさや理想の暮らしについて、お聞かせください。

I:豊かな暮らしというのは、家族や身近な人、職場の人、自分と関わりのあるすべての人と、いかに楽しい時間を過ごすかということではないでしょうか。神楽坂に住まいを移してから職場が近くなり、家族と過ごす時間が増えましたし、散歩や買い物など何気ない生活のワンシーンも楽しめています。今は子育て中で夜の外出ができないけれど、職場の人や友人に「神楽坂まで飲みに行くよ!」と言っていただき、お酒の席に少しだけ顔を出すこともあります。素敵なカフェが豊富なのでママ友と気軽にお茶を楽しんだり、そういった “大切な人と楽しい時間を共有すること” が豊かな暮らしと言えると思います。

ご家族との時間を大切にされているIさん。神楽坂での暮らしの魅力は「安心して住めること」と何度も仰っていたことが印象的でした。神楽坂といえば、美味しいお店がたくさんあり、江戸情緒を感じられる街と連想する方が多いかと思いますが、住まう人を優しく包み込むおおらかさも持ち合わせているのかもしれません。

今は子育てのしやすさを享受しているIさんも、「子どもたちが大きくなったら、この街でお酒や夜の時間も楽しみたい」とのこと。家族の成長とともに、違った楽しみ方ができるのも魅力的です。

Text by Sayoko Murakushi
Edit by Saori Maekawa
         

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