ビルトイン家電の歴史は「ミーレ」とともに

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日々の生活を豊かにする製品を世の中へ
1899年、ミーレは現在本社を構えるドイツ・ギュータースローにほど近い街で生まれました。当時30歳だった技師のカール・ミーレと実業家のラインハルト・ツィンカンが意気投合し、総勢11名の社員とともに会社を設立。牛乳からバターや生クリームを作る際に使用する、クリーム分離器の製造を開始しました。
1901年にはその構造からヒントを得て、木製の手動洗濯機第一号を生み出し、瞬く間に主力商品に。以来、ミーレ家とツィンカン家の経営指揮のもと人々の生活を支える製品を次々と生み出していきます。

ブランドを支える飽くなき探究心
酒井葉子さん(以下、酒井):会社の設立当初クリーム分離器を作っているメーカーは珍しくなく、ミーレ社の60km圏内に30ヶ所以上も工場があったそうです。それでも二人はドイツ語で『Immer besser(常により良いものを)』を合言葉に、常に競合他社の製品と過去の自社製品を上回る品質と耐久性に優れた製品を生み出し続けました。これが現代にも受け継がれるミーレのブランド哲学となっています。

酒井:日本ではミーレと聞くと食洗機を思い浮かべる方が多いかと思いますが、その歴史からヨーロッパでは “洗濯機メーカー” という印象の方が浸透しています。
最初の洗濯機が発売された頃、洗濯は大量のお湯を沸かし、洗い、干すのにそれぞれ何時間もかかる重労働でした。そこで洗濯に従事する女性たちの苦労を少しでも楽にしたいと考えたわけです。家事を効率化して、より豊かな時間を過ごして欲しいという想いは現代にも通じています。

女性の社会進出を後押ししたビルトイン家電
現在はキッチンに調理家電を組み込むビルトイン家電が主力となっているミーレですが、そのきっかけは1960年代後半のシステムキッチンの台頭にあります。1969年に登場した「Studio M」は “オーブンや食洗機が適切に組み込まれたキッチンが家事の大幅な効率化につながる” という調査結果に基づき、ミーレが開発したシステムキッチンの先駆モデル[*]です。
*キッチン事業は2004年に譲渡

本格的な女性の社会進出が進んでいた当時、家事の時間を短縮できるキッチンは女性たちにとって大変魅力的なものでした。これを機にビルトイン家電の開発が続々と進められました。
酒井:ドイツと比較すると日本ではまだまだ少ないビルトイン家電ですが、スペースに限りがある日本の住居にこそ、是非導入していただきたいです。デザイン的にも日本の住居にフィットしますし、コンパクトなキッチン空間でも無駄のないレイアウトですっきりと収まり、生活の質を向上させることができます。


長期使用を見据えた耐久性
ミーレの家電の大きな魅力として挙げられるのが、その耐用年数。親から受け継いだものをメンテナンスしながら、20年以上もの間使い続けているユーザーも多くいるそう。ドイツのミーレ本社には、長きにわたって生活を支えてくれた家電に対する感謝の手紙が寄せられることも少なくないのだとか。
酒井:ミーレでは製品を長期で使っていただくことこそが “究極のサステナビリティ” であると考えています。安心して長くお使いいただけるよう、ドイツにある本社では基本的に20 年間の使用を想定したテストを主要製品に実施しているのが特徴です。また各家庭で使われている製品のメンテナンスに備え、製造が終了したモデルであってもそこから最低15年間は基幹部品のスペアを保管しています。

時代を経ても愛される、タイムレスなデザイン
長きにわたって使用できるミーレ製品ですが、古さを感じさせないデザインも魅力の1つ。デザインの分野でも高い評価を得てきたミーレならではの美意識が、随所に表れています。
酒井:常にシンプルで空間に溶け込むデザインを心がけています。例えば冷蔵庫は便利な機能が沢山ついているという訳ではないものの、ドイツ的な “引き算の美学” に基づき、無駄を徹底的に省いたデザインが特徴です。



酒井:最近は食洗機・オーブン・コーヒーマシンなどキッチンの複数の家電をミーレで揃えていただくお客さまも増えてきました。そのため単体で美しいことはもちろん、いくつかの製品を組み合わせても調和するように、すべての製品を同じコンセプトで設計しています。
また色や形といった見た目のデザインだけでなく、操作性などUXデザインの改良も重ねており、生活の質をより上げられるよう努めています。

時代が変わっても、常に人々の生活に寄り添い続けてきたミーレ。次回の後編ではショールーム「Miele Experience Center 表参道」を訪れ、定番・人気のものをはじめとした各製品の魅力をお届けします。

酒井 葉子 Yoko Sakai
ミーレ・ジャパン株式会社
マーケティング部 ブランド担当
2005年ミーレ・ジャパン株式会社に入社。入社以来、一貫してブランドコミュニケーションに従事する。現在はPRを中心にブランディング業務を担当している。