現代にも息づく江戸の粋。「神田祭」のこれまでとこれから
伝統を受け継いでいくために
髙遠:町会には今年90歳の大長老がいますし、会長や相談役も皆さん70歳近いです。諸先輩が築いていただいた歴史を大切にしつつ、担ぎ手がいる内に様々なアクションを起こしていかなければいけないと思っています。

髙遠:うちの自社ビルの一階と地下はテナントさんに貸しているのですが、その方達が神輿を担ぎたいと言ってくれたんです。少しでも興味を持ってくれるのが嬉しいので、懐を広くして様々な人を巻き込んでいきたいですね。
また私は同じく氏子のエリアである日本橋浜町に住んでいるのですが、“神輿の担ぎ方講座” のチラシが配られたり、facebookで周知したり、どの町会もいろんな試みをしているんです。それらを参考にしつつ、町会のカラーを出したSNS発信やWEBページづくりに取り組んでみたいですね。
――ネットを使うと若い人が集まりやすそうですね。
髙遠:はい、参加者の幅もさらに広がるのではないかと思っています。うちの町会は神輿が2基あるのですが、小さい方を使って海外の観光客向けに “神輿担ぎ体験” をしてもらうなどいろいろと考えていきたいですね。

――最後に、町会として力を入れていることを教えてください。
髙遠:何かあったときにお互いが助け合えるよう、防災には力を入れていきたいです。関東大震災や南海トラフ地震が発生するかもしれないといわれている昨今、東京のような過密エリアには特に必要なことだと思います。ここに住んでいるというせっかくの縁もありますし、ご近所の人たちの顔を知るためにも、地域の方にはもっとお祭りに関わってほしいですね。
――ありがとうございました。
日本三大祭のひとつである「神田祭」。江戸時代から続く歴史や文化の重みだけでなく、ご近所付き合いが希薄になっている現代において、地域の一体感の醸成に欠かせない行事であることを感じました。若い世代に受け注いでいく難しさはありますが、それを考えることも “江戸の粋” や祭を愛する人たちの使命なのかもしれません。

髙遠典昭 Fumiaki Takato
生まれも育ちも神田。1946年創業の千代田ゴム株式会社の代表取締役社長を務める傍ら「神田鍛冶三会町会」の青年部副部長として神田祭の運営に携わり、「神田祭」を次世代につなげる活動に取り組んでいる。