骨董通りに誕生。インテリアの次の時代を予感させる「B&B Italia Tokyo | Maxalto Tokyo 」

2025.05.02
1966年の創業時からラグジュアリー家具の世界をリードし続けているB&B Italia。今回の後編では、2024年11月にリニューアルオープンした東京ショールームについて詳しくレポートします。

ビル1棟で最新の世界観を表現

青山骨董通りに誕生した「B&B Italia Tokyo | Maxalto Tokyo」は4フロアからなるガラス張りのビル。地上3フロアがB&B Italia、地階はアントニオ・チッテリオがクリエイティブディレクターを務めるブランド、Maxalto(マクサルト)のコレクションが展開されています。

表参道・骨董通りに位置する「B&B Italia Tokyo | Maxalto Tokyo」。奥行きのある空間に配された家具や照明が、訪れる人の視線を自然と引きつける。

1、2階はB&B Italiaの新作や代表的な家具をメインにしたフロア。エントランスを入ったところではさっそく初期からの代表作で、B&B Italiaのアイコンとなっているアームチェア「UP(アップ)」が出迎えてくれました。

2022年の第27回コンパッソ・ドーロ[*]受賞を記念した500台限定モデル。ボディはアンティークゴールド、球体のオットマンはブロンズ色のファブリック。*イタリア工業産業デザインの分野で最も権威のある賞

ソファと照明がコラボレートした空間

1階はリビングを中心としたシーンが多数。骨董通りに面したファサードから奥へ長いフロアに「Camaleonda(カマレオンダ)」、「Charles(チャールズ)」など、名作ソファを主役にした場面が次々と展開していきます。

ウォームグレーで統一された壁の色、石や木を使用しインダストリアルな雰囲気をまとった店舗デザインは、B&B Italiaの厳格なガイドラインに準じたもの。

こちらが今1番注目のソファ、1970年に誕生した名品をサステナブルな素材と構造に刷新しリバイバルした「Camaleonda」。

B&B Italiaと同グループに属するFLOSのアイコニックな照明「2097」がコーディネートされているのも大きなポイントになっています。

自由な発想から名作が生まれる

そして2階はリビング、ダイニング、寝室が展開されるフロア。新作と話題作がキーアイテムとして使われたシーンが並び、一周するうちにB&B Italiaの “今” が見えてきます。

最近特に需要が高まっているのが寝室のインテリア。見せる収納のクローゼットは服を選ぶのも、ベッドから眺めるのも楽しい。

このフロアでひときわ目を惹くのがオーガニックな形状の「Eda-Mame(エダマメ)」です。このソファは創業者のブスネリと、デザインを手がけたピエロ・リッソーニが日本酒を酌み交わし語り合ったことがきっかけで誕生したそう。

「Eda-Mame」(2018年)。名前の通り枝豆を思わせるグリーン、質感のあるファブリックが場を和ませる。

独特な形状を活かし様々な座り方ができる新しい提案は、ピエロ・リッソーニの自由な発想とそれを形にできる、B&B Italiaの技術力があってこそ可能になったもの。「Eda-Mame」という印象的なネーミングからは、ウィットに富んだセンスの良さが感じられます。

サステナブルな製品もグレードが高い

2020年以降、環境に配慮した製品を次々と発表しているB&B Italia。それを象徴するのが、ファッションデザイナーのステラ・マッカートニー[*]とのコラボレーションです。*ポール・マッカートニーを父に持つ、サステナビリティの第一人者。大量の廃棄をなくし、循環性のある未来型のファッション産業への移行を推進している。

人気の高い「Camaleonda」をサステナブルな素材で再構築したソファは、ステラ・マッカートニーがもともとデザイナーのマリオ・ベリーニのファンだったことから、企画が始まりました。

「Camaleonda x Stella McCartney」(2023年)。ピンクのファブリックは、100%生分解性で有害物を環境に残さないポリエステルにエコテックス®️[*]の承認を得たインクでプリントされている。*厳しい分析試験にクリアした製品だけに与えられる、世界最高水準の安全な繊維製品の証のこと。

B&B Italiaは、もともと廃棄物が少なく、環境負荷を与えないような製造方法を心掛けていた企業。毎年売上の3%を投じているR&Dという研究開発センターがあり、そのような背景があるからこそ、サステナブルな製品へのシフトチェンジがスムーズだったそう。

現在では、自社製品の高い基準を満たす素材、構造で、ラグジュアリー家具を作り出し、それを安定的に供給できる状況が整っています。

暮らしに彩りを添えるアウトドア家具

3階で展開しているアウトドア家具も例外ではありません。

インテリア家具を製造しているブランドとしては業界でいち早く取り組んでいた実績があり、こちらの製品も環境に配慮した素材や構造が多用されています。

バルコニーに映える鮮やかなカラーリング。
家具のあるリビングルーム

AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。
アームチェア「Borea(ボレア)」(2021年)。クッション材にリサイクルされたペットボトルから作られた繊維が使用されている。

多数の張地や仕上げから選択ができる

ちなみに今回、取材のためにご用意いただいたのは3階の個室。テラスから自然光が差し込む気持ちの良いお部屋です。

同グループFLOSのペンダントライト「TARAXACUM(タラクサカム)」が存在感のある個室。

個室は建物全体で3部屋。B&B Italiaだけでもファブリックが約60種・400色、レザーが約7種・90色もあるため、同じ製品でも張地や仕上げによって全く異なる印象になります。理想の空間を作るためには、その中からどう選択していけばいいのか。ゆっくり時間をかけて相談できるスペースになっています。

会議が長引いてもずっと座っていられる心地良さ

BEARSのオフィスでも会議用の椅子はB&B Italiaの「Husk(ハスク)」を採用。会議が長引いてもずっと座っていられるほどの座り心地の良さは、嬉しい驚きでした。

屋内, 椅子, 部屋, テーブル が含まれている画像

AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。
皇居を臨む会議スペース。椅子は「Husk(ハスク)」、照明はFLOSの「SkyNest(スカイネスト)」。

クラシックを現代的に解釈したマクサルトの世界

もうひとつの見どころが、地下1階に広がる「Maxalto(マクサルト)」の空間。

マクサルトは、アントニオ・チッテリオがディレクションを務めるブランド。1920〜30年代のパリのブルジョワジーのライフスタイルが現代的に再解釈されています。

以前の店舗ではB&B Italiaと同フロアでの展開だったものが、独立性を高めることで、世界観がより明確に体感できるようになりました。

地階ながら天井高が3.8mある贅沢な空間。1階のファサードには専用のエントランスが設けられている。

B&B Italiaが工業的な手法を使ったコンテンポラリーな家具作りを主軸に置いているのに対し、マクサルトは伝統的な職人技での家具作りが追求されています。コンセプトを一言で表すと “ネオモダンクラシック” 。ミニマルでありながらエレガントさもある、とても洗練されたスタイルです。

照明はB&B Italiaと同グループの照明ブランド、ルイスポールセンから名作「PH アーティチョーク」をコーディネート。

和紙のような壁面、落ち着いたナチュラルトーンの家具。上質なディテールが引き立ちます。

2023年に開業した「ブルガリ ホテル 東京」に多くの家具が採用されたというマクサルト。このフロアにはB&B Italiaとはまたひと味違う、ラグジュアリーな空気感が漂っていました。

棚上に飾られた彫刻オブジェ。

家具を決めてから空間を考える

地階から3階まで、ハイグレードなインテリアの楽しさを堪能できる「B&B Italia Tokyo | Maxalto Tokyo」。

ここを訪れるお客様は住空間にこだわり、ご自身で家具を選ばれる方が多いそう。中には『家具を決めてから家の設計を考える』方もいらっしゃるというのは意外でした。たしかにそれは、空間作りがスムーズかもしれません。

もちろん、『すごく気に入った家具があるけれど、他に何を組み合わせればいいのか分からない』という場合は、コーディネートのアドバイスをしてもらうことも可能です。

間はゆるくパーテンションで区切られ、シーンごとの世界観を感じられる。

ウィンドウショッピング感覚で訪れたい

日本では利便性やコストパフォーマンスの良い家具に価値を感じる方が多い傾向があります。一方、B&B Italiaが得意とするところはエモーショナルな価値、その空間を使うたびに心が豊かになるような家具です。

服飾品を引き立たせるライティングとショーケースが、日常の中にもラグジュアリーな時間を演出。

チェアひとつでも、本当に自分が好きなものをインテリアに取り入れてみると、家で過ごす時間の感じ方や過ごし方が変わってきます。アートやファッションを見に行く感覚で、まずはさまざまな家具を実際に見たり触れたりする体験はとても有意義なもの。

こちらの店舗は、予約なしでも訪れることができるのも嬉しい点。気軽に立ち寄って、家での時間をより充実したものにするためのインスピレーションを探してみてはいかがでしょう!

最新の世界観を丸ごとビル1棟で表現した「B&B Italia Tokyo | Maxalto Tokyo」。ラグジュアリーでありながら、どこか軽やかさがあるのも時代の空気を反映しているように感じました。インテリアや空間作りを考えている方には必見のスポット。ぜひ、ご自身の目でお確かめください。

Text by Kyoko Hiraku
Photo by Eiji Miyaji
Edit by Saori Maekawa
DATA

B&B Italia Tokyo | Maxalto Tokyo

2024年11月30日(土)、表参道・骨董通りへ移転オープン。地上3階、地下1階の4フロアからなる旗艦店として新作や定番商品、アウトドアコレクションの展開に加え、Maxaltoのショールームを併設。B&B ItaliaとMaxaltoの世界観を存分に体感できる空間となっている。

〒107-0062 東京都港区南青山6-2-3
Tel. 03-3478-3837
営業時間: 11:00-18:00 定休日: 水曜日(祝日を除く)

bebitalia.co.jp

この記事をシェアする

MAIL MAGAZINE

   

こだわりの住空間やライフスタイルを紹介する特集、限定イベントへのご招待など、特典満載の情報をお届けします。

JOIN US

ベアーズマガジンでは記事を一緒に執筆していただけるライターを募集しています。

   
ページの先頭へ戻る
Language »