「パラッツォ・モルテーニ東京」を邸宅に招かれるように体感

2025.12.05

イタリアを代表する総合インテリアブランド「Molteni&C(モルテーニ)」。今年、新たなフラッグシップストア「パラッツォ・モルテーニ東京」が南青山にオープンし、話題を呼んでいます。“パラッツォ=邸宅” の名を冠した旗艦店は、ミラノに続き世界で2店舗目。モルテーニの世界観が余すところなく表現された、その特別な空間をレポートします。

日本の美学とイタリアのエレガンスを融合

昨年90周年を迎えたモルテーニ。その名を聞けば収納が思い浮かぶほど、優れたシステム収納とクローゼットで長年にわたって世界のインテリア界をリードしてきました。現在は家具にとどまらず、キッチンや壁面装飾パネルなどを含め、空間そのものを提案し、ライフスタイルをデザインするブランドへと進化を遂げています。

「パラッツォ・モルテーニ東京」は現クリエイティブディレクターのVincent Van Duysen(ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン)が手がけた日本初の建築物。彼が以前訪れ、日本の美学に魅せられたという京都の「桂離宮」にインスパイアされた意匠が、建築様式に反映されています。

ショールーム外観
幾何学的なラインが美しく際立つ「パラッツォ・モルテーニ東京」の外観。地下1階、地上3階、総床面積は1,000㎡以上に及ぶ。

『“邸宅に招く” というコンセプトのもと、日本のお客様にもモルテーニの世界観を体感していただきたい』という想いから誕生した「パラッツォ・モルテーニ東京」。

ヨーロッパの古い建築物はその多くが国や自治体に保護されている関係上、壊したり改修工事をすることができず、建物を生かしながら空間づくりをしていくのが前提です。
そうした考え方を反映しているモルテーニをじっくりご案内できるように、こちらのショールームは完全予約制となっています。

では、1階から順にナビゲートしていきましょう。

1F 歴代デザイナーの作品が一堂に介する空間


1階はいわば邸宅の “エントランス” 。モルテーニが代々コラボレーションしてきたデザイナーの製品が共存しながら美しく調和し、ブランドの世界観が一目でわかる空間になっています。

道路沿いの大きなウィンドウに面した一角。マイケル・アナスタシアデスによるシェルフ、ジオ・ポンティの椅子、ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンのリビングテーブルがコーディネートされている。
アートは一部イタリア有数のギャラリー「KALPA gallery(カルパギャラリー)」の作品を展示している。

多様な建築家やデザイナーを起用しながら、独自の世界観を構築しているのが特徴の1つ。モダンにもクラシカルにも温かみのある空間にも、同一の品質と品格を保ちながら、さまざまなスタイルを表現できることが、この空間だけで理解できるようになっています。

地階 大邸宅にお客様を招く、大広間の可能性を提案


昨今の住空間の多様化を背景に、10〜15名のお客様を迎えることを想定して設計されたこの空間は、イタリア語で “サラグランデ(Sala Grande)=大広間” と呼ばれ、さまざまな使い方が提案されています。

リビングスペースの奥にオープンキッチンを設えた空間。
オープンキッチン横に設置されたスナックテーブルは、ダイニングテーブルのように低く設計されている。
奥の水回りは、ドアを閉めて隠すこともできる。

一言で収納と言っても、壁面になったり、空間をしきったり、バーのようにお酒を楽しむ場になったり、あるいは、こだわりの品を美しく飾るスペースになったり。 “ものをしまう” だけではない、その可能性に魅せられます。

2F プライベートな居住空間が体感できる回遊型フロア


親密な方同士、もしくは一人で過ごすことを想定したフロア。ここでは住空間の中で考えられる用途を回遊しながら体感できるように構成されています。

ウェルカムスペースには白い大理石の円卓。奥のクローゼットは住み手がコートを掛ける、もしくはゲストをお迎えする際のクロークを想定。
この階には3タイプの収納スペースが設けられ、回遊しながら体験できる。ウォークインクローゼットの中央にはアイランド型のベンチ付きキャビネットが備えられている。
寝室からウォークスルークローゼットを望む。ショーケースのような雰囲気の  “魅せる収納” は、近年非常に需要が高まっている。
キッチンは、イタリアで人気の深みのある赤い大理石「レッドレパント」を採用。和の設えとも相性が良い。
1950年代にジオ・ポンティがデザインした椅子を復刻させた「D.154.2」。2024年にコンパッソ・ドーロ賞[*]を受賞した。
*イタリアで最も権威と歴史ある工業デザイン賞。

こちらの椅子もジオ・ポンティの復刻製品「D.153.1」。

モルテーニの家具は丸みのあるデザインが多いのも特徴。建築的な要素の強い収納や壁はどうしても直線を多用しがちですが、そこに曲線を使った家具を配置することで、空間に温かみがプラスされます。

3F 理想の住まいを形にした180㎡のアパートメント


3階は「Molteni&C Apartment By Vincent Van Duysen」。ヴィンセントが自らの理想とする住まいをこの空間に投影しました。

リビング、キッチン、テラス、バスルーム、寝室に加え、このフロア専用のエレベーターまであり、実際のアパートメントさながら。

下層階の重厚な雰囲気とは対照的に、サンライズオークの木目とボーン色[*]のジョリパット仕上げの壁面が明るい印象。大きな窓から自然光が入る、とても開放的で温かみのある空間です。
*骨の色に由来する薄いクリーム色や乳白色のこと。

アウトドアコレクションが置かれたテラス。青山の中心にありながら、穏やかで心地よい時間が流れる空間となっている。
こだわりの素材や面材に光が当たることで影が立体的な表情を作り、温かい雰囲気に。

陽が落ちる頃になると、モルテーニならではの収納照明が、空間をやさしく照らし出します。日中と夜の光、両方を体感できるのも、このスペースの魅力です。

地階から3階まで、駆け足でご紹介してきました。いかがでしたか?

国内でもヨーロッパと同じように、収納や装飾壁など空間丸ごとモルテーニでコーディネートされる方が増えているそう。

「パラッツォ・モルテーニ東京」では、マンションなど建物の構造を変えることが難しい場合でも、どんな家具が合うかを相談することは、もちろん可能。モルテーニの “理想形” を体感すれば、品格ある美しい空間のイメージが明確になり、実現への一歩を踏み出させてくれるはずです。

Text by Kyoko Hiraku
Photo by Eiji Miyaji
Edit by Saori Maekawa
DATA

パラッツォ・モルテーニ東京  Palazzo Molteni Tokyo

クリエイティブディレクターであり建築家のヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン自らが建築、空間デザインを手掛けたショールームでは、モルテーニの最新の世界観を存分に体感することができます。
東京都港区南青山5-16-10
TEL. 03-3400-3322
※ショールームは予約制です。 営業時間:11:00-18:00
定休日:水曜・祝日

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