風渡る城南五山の邸宅街「池田山」

2023.10.13

JR品川駅から五反田駅、さらに目黒駅にかけての山手線内側エリアに「城南五山(じょうなんござん)」と呼ばれる都内有数の高級住宅地があります。

城南とは、かつての江戸城、現在の皇居の南側に広がる一帯のこと。その内に点在する五山、つまり5つの高台は、武蔵野台地の東南端に位置します。さわやかな風通しや日当たりに恵まれ、地盤が強固で水害も少ないことから、江戸の昔には名だたる大名らが屋敷を構え、その後も由緒ある高級住宅地として愛されてきました。

その中のひとつ、今回ご紹介する池田山は、品川区東五反田5丁目付近の高台に広がる邸宅街。江戸時代に備前岡山藩・池田家の広大な下屋敷があったことからこう呼ばれ、かつての奥庭は自然豊かな区立公園に。上皇后 美智子さまのご生家があったことでも知られ、憧れのブランドエリアとしての地位を確立しています。

豊かな緑と歴史が息づき、品格漂う池田山の暮らしとは?
実際にこのエリアにお住まいの方にお話を伺いました。

桜が繁る坂を上り、風渡る高台へ

JR山手線、都営浅草線、東急池上線の3路線が乗り入れ、オフィス街や繁華街としてにぎわう五反田駅前。駅から北へ少し歩くと、品川区立「五反田公園」の桜並木が現れます。

五反田駅からほど近い「五反田公園」の並木坂は桜の名所として知られる ©Eiji Miyaji

桜の樹が両側に繁る坂道を上ると、空気が一変。多くの人が行き交う駅前の喧騒が嘘のように、静寂に包まれた邸宅街が広がっています。

坂を上れば、そこは優美な高台の街

ゆとりある道の左右に連なるのは、風格漂う美しい邸宅や高級低層マンション。この一帯は住環境の質を守るため、「第一種低層住居専用地域」に指定されており、高い建物がひとつもありません。空が大きく近くに感じられ、高台ならではのこころよい風が肌を撫でていきます。

そんな邸宅街の一画にある「ねむの木の庭」は、池田山の憩いのスポット。上皇后 美智子さまのご生家である正田邸の跡地を整備し、2004年に開かれた小さな区立公園です。手入れが行き届いた園内は四季の花々や緑に彩られ、温かな雰囲気に満ちています。

池田山で叶えた理想の暮らし

今回お訪ねしたのは、会社経営者のMさんご一家。5年ほど前に池田山の戸建て住宅を購入され、ご夫婦とお子様の5人家族で暮らしていらっしゃいます。以前は港区芝浦や高輪のマンションにお住まいだったそう。まずはこの街に住むに至った経緯を伺いました。

──数ある高級住宅街の中から池田山を選ばれた理由は?

Mさん(以下M):こちらに越してきたきっかけは子どもたちが成長し、当時の住まいが手狭になってきたことでした。夫が経営する会社のオフィスが目黒にあり、その徒歩圏内でより広い家を探していたときに、偶然こちらの物件を見つけました。それまで住んでいた高輪から近く、生活圏を変えずに済むことも大きかったのですが、一番の決め手となったのは、環境の良さですね。特に緑の豊かさに惹かれました。

池田家下屋敷の奥庭を整備した品川区立「池田山公園」は、高低差のある地形を活かした回遊式庭園。深い緑に包まれ、梅やアジサイ、モミジや椿など、四季折々の自然に親しめる  ©Eiji Miyaji

──この辺りは都心にありながら、風や日差しのおかげか、木々の緑が生き生きとしていますね。周辺環境については、中でも「池田山公園」の存在が大きかったとか。

M:ええ、高輪に住んでいた頃から池田山には散歩に来ていたのですが、池田山公園は特に好きな場所でした。大きな木が繁る森の中に滝や池があり、ゆったり鯉が泳いでいて。今は家から歩いてすぐなので、子どもたちと毎日のように散策しています。

この辺りは公園が多く、高輪台エリアも入れると、よく通っている公園が5〜6か所ほどあります。たとえば、ある日はお気に入りの滑り台、次の日は別の公園の砂場でお友達と遊び、今度は静かな水辺へという風に、その日の子どもの気分に合わせて行き先を選べるので、飽きることがありません。

お子さんが『お魚を見たい気分』の日は池田山公園の鯉に会いに来るそう  ©Eiji Miyaji

──それは、子育て環境としても理想的ですね。

M:はい、ゆったりした雰囲気で治安も良く、子育ての面でもとても住みやすい街だと思います。こちらに来る前は、池田山と言うと少し近寄りがたいイメージもあったのですが、実際に暮らしてみると、意外と子どもが多いことを知りました。同じ年頃の子を持つ親同士で仲良くなる機会もよくあります。ご近所さんとは路地で顔を合わせた際にご挨拶したり、立ち話をしたり、ほど良い距離感でお付き合いができています。

教育面でも、評判の良い公立校やインターナショナルスクールなど学校の選択肢が多く、近くに病院やクリニックがまとまっているのも嬉しい点ですね。小学校について言えば、池田山や花房山を学区とする品川区立「第三日野小学校」は人気があります。品川区で最も中学受験率が高く、同校に子どもを通わせたいという理由で越してくるご家族も少なくないそうです。

──日常のお買い物などはどうされていますか?

M:私は普段、五反田駅をあまり使わず、徒歩圏の目黒や白金台エリアに出ることが多いですね。日ごろの買い物はネットスーパーと併せて目黒のスーパーをよく利用しています。

私自身は都内で車を運転しないこともあって、電動自転車を愛用しているのですが、目黒や白金台はもちろん、品川、大崎、広尾、麻布十番あたりまで気軽に足を延ばしています。車やタクシーに乗れば、さらにいろいろなエリアに出やすいです。

──近所にお気に入りのお店はありますか?

M:よく立ち寄るのは「gicca(ジッカ)池田山」ですね。近所なので、ごはんを食べにふらっと。世界の調味料や食材、お惣菜なども並んでいて、お買い物も楽しいですよ。

グロッサリーとレストラン、イベントスペースが一体になった「gicca 池田山」は2020年オープン

M:もうひとつ、ベーカリーカフェの「Bread&Coffee IKEDAYAMA」もおすすめです。焼きたてのパンや自家焙煎コーヒーが美味しくて気に入っています。

2016年にオープンした人気店「Bread&Coffee IKEDAYAMA」。パンは粉の捏ね上げから全工程を店内で行う「オールスクラッチ製法」にこだわっているそう

──最後に、池田山の魅力はどんなところにあると思いますか? 

M:私が感じる魅力は、治安の良さと緑の豊かさ、そして交通アクセスの良さ。言い換えれば、子どもたちと安心して暮らせて、都心にいながら四季を感じられ、都内の魅力あるエリアへ気軽に出かけられることです。池田山は実際に住んでみて、外から見たイメージ以上に暮らしやすい街だと思います。

仕事や教育、文化、人との交流といった都会ならではのポジティブな刺激と、心安らぐ自然の両方に日常的に触れられる、そのバランスが良いのでしょうね。私たち家族はこの街で理想の暮らしができています。

さらにごく個人的な話をすれば、私が育った上野桜木の辺りにも近いものを感じて落ち着きます。駅前はとてもにぎやかなのに、少し歩けば木々が繁る大きな公園があって、閑静な住宅街が広がっている。古い歴史があり、文化的にも豊か。近くに寺町があるのも似ていると思いませんか?

©Eiji Miyaji

そう言って微笑んだMさん。

由緒ある邸宅街としての歴史を持ち、近寄りがたいようでいて、やわらかな空気を湛え、こころよい風が渡る池田山。洗練と落ち着き、都市と自然のバランスを求める方にとって、ここに理想の暮らしがあるかもしれません。

Text by Jun Harada
Photos by Eiji Miyaji
         

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