理想のキッチンを実現する、国産ブランド「CUCINA」

2024.10.18

衣食住のうち、食と住を担うキッチンは住宅の中でも大きく印象を変える要素。今回は機能的でありながら、洗練されたデザインのキッチンで多くの人に愛される「CUCINA(クチーナ)」の魅力を探るべく、企画開発部の奥村知子さんにお話をお伺いしました。BEARSがプロデュースする物件にも多数取り入れてきたCUCINAのキッチン。ものづくりに対する想いや、ブランドの哲学を前後編に渡ってお届けします。

人が集まる賑やかな家におすすめしたいカウンター併設のオープンなキッチン。

はじまりは大阪市西区の注文家具店

CUCINAは1937年に創業、企業や店舗の注文造作家具を制作していた森本家具装飾店から始まりました。高度経済成長期に人々の生活が変化し、自宅用の家電や家具を購入することが一般化したことも手伝って事業は成長。1970年代に創業者がイタリアで行われている国際的な家具の見本市「ミラノ・サローネ」でシステムキッチンの美しさに魅了されたことから、日本初となる国産部材型システムキッチン「CUCINA」が生まれました。

1976年に発売された日本初の国産部材型システムキッチン「CUCINA」

奥村知子さん(以下、奥村):当時の日本では、家具やインテリアにこだわる一般の方はまだまだ少なかったと聞いています。空間に合わせてキッチンをつくるという概念がなく、オーダーキッチンの市場もとても小さなものでした。普及していたのは壁付のシンプルなキッチンで、ステンレスのカウンターの上にガスコンロを置くといった形。

そのような時代に事業をスタートした背景には『家具のように、それぞれのお客様が自分で選ぶことのできるキッチンを広めたい。キッチンによって住環境をより魅力的にしたい』という想いがありました。以来、一貫してお客様に寄り添い、一人ひとりの理想の暮らしやライフスタイルに合わせたカスタムメイドのキッチンを生み出し続けています。

お客様らしさを表現する、カスタムメイドという手法

CUCINA最大の魅力は、お客様に徹底的に寄り添ったカスタムメイドの手法。既製品のキッチンを販売するのではなく、素材や色、デザイン、機能を自由に選ぶことで、使う人の理想を細部にわたり実現した “唯一無二な空間” を創り出しています。

キッチンの扉には表情豊かな木目や意匠を凝らした框など、さまざまな素材や仕上げ、デザインが用意されている。

奥村:私たちが最も重視しているのは、一人ひとりのお客様の要望に耳を傾け、理想のキッチン空間を共につくり上げることです。例えば、料理が好きでプロ顔負けの設備を求める方や家族団らんの時間を大切にする方、またはデザインに徹底的にこだわりたい方など。キッチンはその人らしさが出る場所だと思うんです。自分がどうしたいのかを最初からはっきり言葉にできる方は少ないので、ショールームでは専属のプランナーとの相談を通じて、お客様のこれから送りたい暮らしに合ったキッチンをご提案しています。

奥村:また、お客さまのお話しからだけでなく、お召し物やお持ちのものなどからお好みやライフスタイルを想像して提案させていただくこともありますね。完成後のアフターサービスにも力を入れることで、設置後も長く愛されるキッチンを目指しています。

すべてが国内生産。良質な素材と一流の職人によって生み出されるキッチン

キッチンの制作は受注から製造、施工、メンテナンスに至るまで、すべて静岡県浜松市にある自社工場で行われています。

静岡県浜松市にある自社工場の様子。

奥村:ピアノの産地でもある浜松には一流のメーカーや腕の良い職人がたくさん集まっているだけでなく、地理的にも日本の中心ということで物流に優れ、良質な木材が集まりやすいんです。高い技術者と素材に恵まれているおかげで、自信を持ってお届けできる製品を生み出すことができています。

近年のトレンドは?コロナ禍を契機に変化したキッチンのありかた

取材で伺った代官山のショールームには、キッチンの他にも洗面や同社が輸入展開する「cattelan italia(カッテランイタリア)」の照明や椅子など、住まいに置かれる様々な製品が展示されていました。

代官山ショールームの様子。ダイニングテーブルやソファなど、具体的な暮らしがイメージしやすい展示がされている。

奥村:キッチン単体のご提案はもちろんですが、CUCINAの世界観と暮らしのイメージをお伝えする意味でも、リビングダイニング全体をコーディネートして展示しています。近年は料理中もリビングの様子がわかるオープンキッチンが主流になってきています。

キッチンにはファッション業界のように分かりやすく『今年のトレンド』というものはあまりないのですが、定番と時節によって変化していく流行はあります。コロナ禍で生活様式が変化したことも、キッチンの在り方を大きく変える契機になりましたね。

多くの方が在宅で仕事をし、おうちで過ごす時間が増えたことで “リラックスできる空間” がキーワードになりました。ビビッドな色味よりはニュアンスカラーのグレージュなどの優しい色味を使った、マットな仕上げを選ばれる方が増えてきています。

収納棚には黄みがかったホワイトやグレージュが用いられている。

奥村:以前ショールームにはキッチンに立つ奥様のみお越しになることが多かったのですが、料理をする男性が増えたことや在宅時間が増えたことで家の中に目が向くようになったのか、旦那様も一緒に選ばれることが増えました。私たちとしては色々な角度から意見をお伺いすることができるので、ご家族皆さんでお越しいただけるのは嬉しいですね。

それぞれの暮らしを彩り、心を満たすキッチンを届けたい

奥村:私たちのキッチンは、使っていただく中でよりその良さを実感していただくことが多いです。それはお客様それぞれのスタイルに寄り添い、暮らしに馴染むキッチンをご提案できているからだと思います。あらかじめ決まった形の中から選ぶのではなく、フルオーダーに近い形でご自身でカスタムすることで、より長く愛着を持っていただけるのではないでしょうか。

一人ひとりのお客様に寄り添った提案を行い、日本のキッチンに豊かさをもたらしてきたCUCINA。

次回、後編では今年30周年を迎える代官山ショールームの様子を中心にお届けします。

DATA

奥村 知子 Tomoko Okumura

株式会社クチーナ 企画開発部 2016年株式会社モーリコーポレーション入社。 代官山ショールームのプランナーを経て、現職にて広報や全国クチーナショールームの企画など、ブランディング全般に携わっている。

Text By Natsuki Numao
Edit By Saori Maekawa
Photo By Eiji Miyaji
         

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