選りすぐりのデザイン照明が世界から集結。
「スタジオノイ」ショールーム

2025.05.30
日本にデザイン照明を広く認知させるきっかけをつくった「Studio NOI(スタジオノイ)」。前編は照明への想いや取り扱う4つのブランドについてご紹介しました。後編ではシニアマネージャーの奥田智美さんにショールームをご案内いただきながら、照明を取り入れるコツなどについて伺います。
「INGO MAURER(インゴ・マウラ―)」の展示スペース。目でも楽しめるユーモラスな商品がずらり。

つい長居したくなる、美しい光の空間

銀座線「外苑前駅」から徒歩4分、一見オフィスビルのように見える建物の2階にショールームを構えるスタジオノイ。しかしドアを開けると雰囲気は一変。そこには美術館や展覧会に訪れたかのような異世界が広がっていました。

——こちらのビルにショールームがあるとは驚きました!ギャラリーのように展示されているのも素敵ですね。

奥田智美さん(以下、奥田):ありがとうございます。かなり狭いのですが(笑)、気に入った照明が見つかりやすいように回遊型の動線にしています。空間を設計していただいた方のアイデアで、照明が引き立つよう濃いグレーをベースにしているのもポイントです。

天井から吊り下げられた「BOCCI(ボッチ)」の「14」シリーズはまるで降り注ぐ光の雨のよう。

奥田:空間はブランドごとにゆるく分けていて、それぞれの世界観を堪能できるように展示しています。本当はすべての商品をお見せしたいのですがスペースの都合上難しいので、どれを選んでどうレイアウトするか、いつも頭を悩ませているんですよ。

窓に面するディスプレイスペースには、「bomma(ボマ)」の「Pyrite(パイライト)」シリーズを展示。

——ショールームのレイアウトは定期的に変えているのでしょうか。

奥田:2024年6月にショールームを改装したきりなので、そろそろ変えようかと思っています。その改装で「BOCCI(ボッチ)」の展示スペースの一部を白い壁に変更したんです。作品の雰囲気ともマッチしており、お客様にも好評いただいています。

奥田さんお気に入りの展示スペースがこちら。

——照明の光が心地よく、BGMのオペラと相まって落ち着く空間ですね。

奥田:そう言っていただけて嬉しいです。強い光の照明が少ないので、そのように感じていただけるのかもしれません。また直接目に光が当たらないように、角度などを工夫しています。

貸切状態で照明を選べる贅沢な時間

——こちらのショールームは一般のお客様も伺えるのでしょうか。

奥田:予約制ではありますが、もちろんご来店いただけます。その時間は1組様のみでご覧いただけるので、他のお客様に気を遣うことなく、リラックスしてお好みの照明を探していただけますよ。

イタリアンモダンを象徴する「OLUCE(オルーチェ)」の展示スペース。

——来店する際に、何か準備していったほうがいいですか?

奥田:家の図面をご持参いただくと取付時のイメージがしやすいかもしれません。床やクロスなど素材のサンプルもあると尚いいですね。

空間に対して小さいサイズの照明を選ばれる方が多いため、奥田さんは『それより一回り大きいものを選ぶと、かっこいい空間になります。』とアドバイスをされることもあるそう。photo by ARVisuals, Václav Mlynář

照明の選択は早い段階で。それが好みの空間を作る鍵

——家を建てる際やリノベーションをする際、照明を新調する方が多いと思います。どの段階でセレクトするのがベストなのでしょうか。

奥田:照明アイテムを最後にセレクトすると 選択肢がだいぶ少なくなり、結果的に妥協しないといけなくなる場合があるので、なるべく早いほうがいいと思います。置き型のものは別として、弊社で取り扱っている照明は電気配線や荷重に適した下地を準備する必要があったりしますので。

『フロアランプの置く場所も設計段階で決めておくと、そのすぐ近くにコンセントを準備でき便利ですよ』と奥田さん。

——奥田さんのご自宅ではどのように照明を楽しんでいらっしゃるのですか?

奥田:シーリングライトひとつに頼るのではなく、いくつかの照明を使い分けるようにしています。ここにもう少し光が欲しいからとスタンドライトを置いたり、ベッドサイドは調光できるものを使ったりしています。太陽が沈むイメージで、家の中の光は就寝時間に向けて少しずつ消していくようにしています。段階的に暗くすることで睡眠の質も上がると言われていますよね。もちろん、仕事をするときは捗るように明るくしています。

インゴ・マウラーの「I Ricchi Poveri – Monument for a Bulb Ambient LED」。電球とジオラマ用フィギュアの対比が面白い。

——あらゆる場所で “光” を楽しまれているのですね。ショールームで人気の商品を教えてください。

奥田:本当にどれもおすすめなのですが、1つはボマの新作「Fragments(フラグメンツ)」のペンダントライトです。世界的なラグジュアリーブランドも認める卓越した技術が凝縮したコレクションで、社内の厳しい品質基準に達しなかったガラスをアップサイクルしています。色も形状もさまざまなガラスを新たなパネルとして再構成したペンダントライトは、同じ表情が2つとない一点物になっています。

「Fragments」光が当たると美しさがさらに増し、幻想的な空間へと導いてくれる。
「Fragments」製作風景。すべて熟練の職人の手でつくられている。

奥田:色とりどりのガラスとゴールドのパーツが相まって、ジュエリーのような美しさを放ちます。1つだけでポイント使いしてもいいですし、さまざまな色や形を組み合わせてより華やかに演出することも可能です。

1点1点異なる光の反射によって空間がラグジュアリーな雰囲気を纏う。

奥田:もう1つはボッチの「14」です。ボッチの作品名は全て数字になっていて、これは建築家でもあるデザイナーのオマー・アーベル氏がデザインした順番なんです。「14」シリーズは2005年の創業時からブランドのアイコンになっています。

気泡の入り方が一点ずつ異なるのも「14」の魅力。

奥田:2024年に日本で発売が開始された「14P」は待望のポータブル式です。ワイヤレスなのでどこへでも持ち運べて、好きな場所に置くことができます。充電式だったり3段階調光だったり、デザインだけでなく機能が優れている点も支持されています。気泡の入り方によって光の模様が変わるのも面白いんです。私も愛用していますが、明るさを変えたものを何個か並べて光のリズムのように楽しんでいます。

——最後に、スタジオノイの今後の展望、取り組みたいことなどを伺えますか。

奥田:住空間における真の豊かさを創り上げるためには、“灯り・素材・時間” の3要素が重要だと考えていて、弊社が提案するプロダクトがその一役を担えるのであればとても嬉しく思います。住まう人々とそれを提供する側の両者が、空間に心地よさを見出していってほしいと願っています。ショールームに関しては “照明がもたらす美しさ” をもっと伝えていきたいです。いずれは家具と組み合わせて、より灯りを体感できる空間をご提供していきたいと考えています。

美しい照明の光に包まれることで、日々の暮らしがより豊かで心地よいものへと変わっていく。スタジオノイの世界観とこだわりを通じて、これまで以上に住環境における照明の重要性が分かりました。皆様もぜひショールームを訪れ、その魅力を体感してみてください。

Text by Kyoko Chikama
Photo by Eiji Miyaji
Edit by Saori maekawa
DATA

Studio NOI

1986年に創業し、2019年に恵比寿から南青山にショールーム移転。現在は「ボッチ」、「オルーチェ」、「ボマ」の日本総代理店、「インゴ・マウラー」のプレミアム代理店を務めている。
※ショールーム:ご予約制(土日祝日休み)
東京都港区南青山2-18-2 竹中ツインビル B wing 2F
studio-noi.com

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