唯一無二を “仕立てる” 家具のオートクチュール「プロメモリア」

2026.01.30

PROMEMORIA(プロメモリア)は、イタリアの伝統的な職人技術を継承する最高級家具ブランド。一人ひとりの顧客に合わせて仕立てられるオーダーメイドの空間は、国際的に高い評価を得ています。創業者、そしてメインデザイナーとしてブランドを担うロメオ・ソッツィ氏にブランドの哲学を語っていただきました。

ロメオ・ソッツィ氏。自身が1999年にデザインした「Bilou Bilou(ビル・ビル)」チェアに囲まれて。

貴族の馬車からオートクチュール家具へ

イタリア北部ロンバルディア州の街、ヴァルマドレーラで1988年に誕生したプロメモリア。ロメオさんは、どのような経緯で創業されたのでしょうか。

――ご自身のご経歴を教えていただけますか。

ロメオ・ソッツィ(以下ロメオ):私は当初、画家になることを志してブレラ美術学院で学びました。一方で父と祖父がコモ湖畔で地元の貴族のために馬車の修復を行う小さな工房を営んでいたため、非常に若い頃から高級家具製作や精緻な木工の世界に身を置いていたのです。

ロメオ:そのような環境で育ったことで、職人技、素材、そして手仕事に対する深い敬意を日常的に学ぶことができました。それが私の歩みやプロメモリアにおける役割を大きく形づくったと言えます。

――創業のきっかけとなったインスピレーションについて教えてください。

ロメオ:プロメモリアは、代々受け継がれてきた家族の伝統と、大きな遺産から生まれました。祖先たちの仕事から学んだすべてを、目の肥えた格式ある顧客のための、貴重なオーダーメイド家具の製作へと昇華させたいと考えたのです。

オーダーメイドのキャビネットに取り付けられたムラーノガラス製のハンドル。

ロメオ:私は常に “美” を追い求めてきました。画家になる夢を抱いていましたが、人生はそれと密接に結びついた別の道――一点一点が特別に仕立てられる家具の創造へと私を導きました。それは、職人技、創造性、そして感情が融合する、まさにオートクチュールの作品なのです。

ロメオ氏のスケッチ。ノート、ペン、鉛筆をいつもポケットに入れて持ち歩いているそう。

――ブランドが大切にしている価値観は何でしょうか。

ロメオ:プロメモリアは、イタリアの伝統的な職人文化と現代的感性との間にある、エレガントな対話を体現しています。素材選びから最終的なディテールに至るまで、すべての工程において、知識、忍耐、手仕事の技が息づいているのです。

ロメオ:そして、自律した独自の美的言語を持っています。流行を追うのではなく、バランスと調和、そして素材そのものへの深い敬意を重んじた、時代を超えながら個性が際立つ作品を生み続けてきました。

ロメオ:世界各地から選りすぐった木材。シルクやリネン、カシミアに、ブロンズやシルバーなどの金属を織り込んだマテリアル。ムラーノガラスや大理石、雪花石膏。そうした高級素材同士を組み合わせて、精緻なディテールへと造形していく。その贅沢な美しさは、見る人の心をとらえて離しません。

すべての作品が唯一無二の存在

――シグネチャーピースや代表的なプロダクトはどんなものがありますか。

ロメオ:代表作を絞るのは難しいですね。というのも、すべての作品が本質的に唯一無二であり、常に新しい仕上げやプロポーション、洗練されたディテールを通して進化し続けているからです。
しいて挙げるとすれば、まず「Bilou Bilou(ビル・ビル)」チェアでしょうか。遊び心に満ちたデザインで、ウィットに富んだ形や色彩を持ちながらも、控えめで時代を超えたエレガンスを備えています。

ベルベットで覆われたエレガントな「Bilou Bilou(ビル・ビル)」チェアは、カフェチェアとして有名な「トーネット(THONET)ベントウッドチェア No.14」を再解釈したもの。豊富なカラーバリエーションも魅力。

ロメオ:もう一つの代表作は「George(ジョージ)」キャビネットです。堂々とした存在感、張り地の豊かな表情、ムラーノガラスのノブ、レザー張りの引き出し、そして特徴的なヒノキの香りによって、その魅力が放たれます。

ロメオ氏の私邸のために製作された機能的なキャビネットが、2009年にプロダクトとして登場。
オーダーメイドの「George(ジョージ)」キャビネット。基本の形はシンプルでありながら、用途やイメージに合わせてあらゆるカスタマイズが可能。

ロメオ:私が手がけるすべての作品は、大きなワードローブであれ小さなテーブルであれ、その空間の主役となり、住まいを定義し豊かにする存在として構想されています。

個人的な物語を秘めたオーダーメイド空間

ロメオ氏の美意識と卓越した技術から生み出される詩的でアーティスティックな空間デザイン。それは居住空間にどんな体験をもたらすのでしょうか。

ロメオ:プロメモリアにおいて、空間はすべて特別なプロジェクトとなります。単に家具を配置するのではなく、住む人のニーズや嗜好、文化に合わせて構想され、仕立てられるのです。その結果、記憶が宿り、感情を呼び起こす、パーソナルなストーリーを秘めた “オーダーメイド空間” が生まれます。

ロメオ:プロメモリアは伝統に根差すと同時に、グローバルなマインドも持ち合わせています。現代的かつ国際的なビジョンを通して表現することで、世界中のコレクターや顧客の共感を得ているのです。

感情的・文化的に響くものを求める顧客層

世界的な評価の高まりと共に、プロメモリアは、ロンドン、ニューヨーク、モスクワ、香港など、各国の主要都市にショールームを展開しています。現在の顧客層についてお伺いしました。

――プロメモリアの家具に惹かれるのはどのような方ですか。

ロメオ:多くの場合、芸術に強い関心を抱き、映画や文学など幅広い文化的好奇心を備え、美に対する深い理解があります。

彼らは洗練された感性を持ち、私たちの作品が持つ真の価値と希少性を見抜くことができます。職人技、素材、そしてかけられた時間の意味を理解し、単なる機能を超えた、感情的・文化的に響くものを求めているのです。

充実した人生とは、外面的な贅沢ではない

一人ひとりの顧客に合わせて、まさにオートクチュールのように空間を “仕立てる” ロメオ氏。では、ご自身にとっての理想の住まいとは?

ロメオ:私にとって理想の住まいとは、忙しい一日の終わりに、笑顔で迎えてくれる場所です。常に動きがあり、時とともに進化しながら、周囲の環境と調和して存在する空間であるべきだと思います。

また、本やアート作品に満ちていることも重要です。知性を養い、住まいに生命、記憶、そして個人的な表現を与えてくれる存在だからです。

――“豊かで充実したライフスタイル” とは、あなたにとって何を意味しますか。

ロメオ:私にとってそれは必ずしも “豊かさ” や “ライフスタイル” という言葉で語られるものではありません。本当に大切なのは、自分の内面や価値観、強さを映し出し、完全な調和を感じられる場所を見つけることです。

充実した人生とは外面的な贅沢ではなく、真実性とのバランスによって定義されるものだと思います。

日本文化へのオマージュを込めた作品

親日家でもあるロメオ氏。日本への想いについてお聞きしました。

――プロメモリアと日本の親和性についてはどのようにお考えですか?

ロメオ:私は日本人の友人が多く、日本のデザインが持つ厳格さ、精度、明快さから、これまで何度もインスピレーションを受けてきました。「Sumo」コーヒーテーブル、「Edo」サイドテーブル、「Nagoya」ウォールランプなど、いくつかの作品には日本文化へのさりげないオマージュが込められています。

「Edo(エド)」サイドテーブルをコーディネートした空間。

――日本の住空間に対しては、どのような印象をお持ちでしょうか。

ロメオ:日本の住空間は比較的コンパクトなことが多いですが、私は常に、プロメモリアの作品をあらゆる空間に適応させることを意識してきました。サイズに関わらず、目指すのは同じです。――環境を尊重しつつ、調和と美しさ、そして心を豊かにする感覚をもたらすことです。

本質を失うことなく未来を受け入れていく

最後に、プロメモリアの今後の展望についてお伺いしました。

――現在ブランドが注力していること、また今後取り組みたいことを教えてください。

ロメオ:現在も将来も、プロメモリアは完成度の追求と継続的な向上に焦点を当てています。世界が加速度的に変化する中でも、細部への妥協なきこだわり、職人技、品質というDNAにしっかりと根ざし、自らのリズムで歩み続けています。

同時に、これから直面する課題も十分に認識しています。強いアイデンティティと前向きで開かれた姿勢を持ち、本質を失うことなく未来を受け入れていく準備ができています。

住み手の記憶を宿し、感情を呼び起こすオーダーメイドの空間。プロメモリアの日本総代理店、京橋の老舗壁紙屋㈱トミタでは、ロメオ氏の至高のクリエーションを実際に見て触れて体験することができます。ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

Text by Kyoko Hiraku
Edit by Saori Maekawa
DATA

Romeo Sozzi ロメオ・ソッツィ

PROMEMORIA CEO
職人家系の三代目として伝統技術を継承し、素材への深い敬意と洗練された感性で、究極のオートクチュール家具を創造している。現在はCEO兼デザイナーとして第一線でプロメモリアの哲学を伝えている。
HP:promemoria.com

tomita TOKYO

1923年創業の京橋に店舗を構える壁紙屋。世界中から厳選した壁紙や布地のほか、プロメモリアの日本総代理店を務める。近年はオリジナルブランド「kozo」など伝統的なものづくりを今に伝えるブランドを展開している。
HP:tominet.co.jp
Instagram:tomita_tokyo

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