インテリアの見本市「ミラノ・サローネ2024」訪問記・前編
毎年4月に開催される「ミラノ・サローネ国際家具見本市」。世界最大規模の『家具の祭典』に、ミラノの街全体がお祭り気分で盛り上がります。コロナ禍を除き、幾度も見学に訪れているBEARS編集部は、今年もミラノへ。毎年たくさんのインテリア関係者やデベロッパーが日本から訪れていますが、不動産会社が現地までに行くのは、少し珍しいかもしれません。『みなさまに豊かな暮らしをお届けする会社として、最新のトレンドを肌で体感しよう!』と今年も意気込んで出かけました。開催史上最大の入場者数を記録し、大変な盛り上がりを見せた「ミラノ・サローネ2024」訪問レポートを、前編・後編に分けてお届けします。
開催史上最大の入場者数! 37万人が訪れたインテリアの祭典
ミラノ・サローネは毎年4月にイタリア、ミラノで開催されるインテリアの見本市。ミラノ郊外にある「フィエラ・ミラノ」をメイン会場として開催されています。
全世界35カ国から数々のインテリアブランド、メーカー、デザイナーが出店し、最新のトレンドを発信している国際的な祭典です。今年(2024年)の 第62回ミラノ・サローネは総来場者数370,824人という、記録的な数字を達成しました。
BEARS編集部は開催前日にミラノ入りして、市内の様子も体感してきました。世界中から訪れる大勢の見学者と地元民が一体となって楽しむ、ミラノ市内でも特に盛大なイベント。街中が活気づき、華やかな雰囲気に包まれていました。
来訪2日目、ミラノ・サローネの開催初日に会場である「フィエラ・ミラノ」にやってきました。広大な敷地では、バスに乗って近くのエントランスに移動するほど。エントランス付近は大勢の人でごった返していましたが事前予約しておいたパスでスムーズに通過することができ、いざ入場!
今年は1950社のメーカーが出展しており、すべてを見て回ることはできないため、興味深いブランド数社をピックアップして見学してきました。
趣向を凝らした各メーカーの展示で、今年のトレンドを体感
ここからは、BEARS編集部が見学した中から、印象的だったメーカーをご紹介します。
最初に訪ねたのは、イタリアのモダンファニチャーブランド「Poliform(ポリフォーム)」。丸みのあるフォルムの家具が目を引きます。落ち着いたニュアンスカラーは、他のメーカーも多用しており、今年のトレンドのようです。キッチンではユーカリ色のシックなカラーやサビ風塗装が使われていたのが印象的。「Poliform」は空間を収納家具で仕切る手法や照明の入れ方が秀逸で、『さすが』の展示でした。
次は、イタリアデザイン界の巨匠アントニオ・チッテリオ氏がデザインと総合監修を務めるブランド 「FLEXFORM(フレックスフォルム)」へ。今年は‟Between the Folds”をテーマとし、折り目のついた巨大な紙の間に展示されていました。全体的にニュートラルカラーにテラコッタ色のアクセントが効いていました。新商品のソファ「CAMELOT(キャメロット)」もリラックス感があってとても素敵です。
ここでは展示の見学後、2階でお茶とお菓子をいただきながら製品に使われている素材を拝見。ご案内下さった方の説明もわかりやすく、ホスピタリティの大切さを感じました。トップクラスのメーカーはおもてなしも一流です。
「Baxter(バクスター)」は1989年創業の比較的新しいブランドで、レザーへのこだわりで知られています。独特ななめし方を開発し、そこから生まれるやわらかな革が、様々なプロダクトのデザインへと発展していったそうです。このブランドの世界観を創造しているのはオーナーとクリエイティブディレクターの男性2人と聞いて驚きました。展示では、革の家具に合わせてガラス素材を使ったりと、モダンな印象になっています。
日本でも人気の高い家具ブランド「Minotti(ミノッティ)」。2024年のコレクション は、ハンネス・ピール、ジャンピエロ・タリアフェッリという才能あふれる若いデザイナーの作品を中心に展示されていました。展示会場は4,500平方メートルという史上最大規模の広さ。昨年逝去したデザイナーのロドルフォ・ドルドーニ氏へのオマージュとして、同氏による「PILOTIS BENCH(ピロティベンチ)」がロビーに展示されています。
エントランスの先は「未来の枯山水を思わせるコンポジション」として、モダンな展示が広がります。中でも、ミラノ在住の建築家 ハンネス・ピールによる「YVES(イヴ)」シリーズと、ミラノとロサンゼルスを拠点とするデザイナー ジャンピエロ・タリアフェッリによるシーティングシステム「SUPERMOON( スーパームーン)」が印象的でした。
イブ・サンローランのモンドリアン・ドレスからインスピレーションを得てつくられたソファ「YVES」。 直線と曲線の組み合わせがデザインのポイントで、50~60年代のデザインを取り入れているそう。毛足の長いカーペットがレトロ感を際立たせている。
「Molteni &C(モルテーニ&C)」は、『1930年代のミラノのヴィラ』をテーマに、家具と収納、キッチンを展示。人気メーカーとあって、会場はとても混雑していましたが、丁寧に説明していただきました。
趣向を凝らした各メーカーの展示で、今年のトレンドを体感
メイン会場「フィエラ・ミラノ」では、広大な展示会場を歩き回り、足が棒のようになってヘトヘトに。気づけば1日2万歩も歩いていました! まだまだ見たい展示はたくさんありましたが、会場を後にし、翌日はミラノ市内各所のショールーム等を見学してきました。サローネ開催中は、さまざまな家具メーカーが各ショールームで展示を行っており、こちらも大変な賑わいです。ここでは、その様子を写真でご紹介します。
■edra(エドラ)
■cassina(カッシーナ)
■PROMEMORIA(プロメモリア)
■Poltrona Frau(ポルトローナ・フラウ)
■番外編・ミラノのインテリアショップ
今年のミラノ・サローネでは、多くの家具メーカーが、‟丸みを帯びたフォルム”、‟ニュアンスカラーのファブリック”を取り入れていたことが印象的でした。また、家具とは直接関係ないことかもしれませんが、各家具メーカーのホスピタリティにも感動。素晴らしいメーカーはおもてなしも一流で、その製品の良さが最も伝わる展示を追求していることも勉強になりました。新商品の情報を、PCやスマホの画面上で見ることはできますが、実際にメーカーの方と握手を交わし、生の言葉で説明をしてもらう意味は大きいものです。
「ミラノ・サローネ」見学後BEARS編集部は、地方に少し足を延ばしてサローネ出展企業が開催する工場見学ツアーに参加してきました。後編では普段は見ることのできない『ものづくり現場の訪問記』をお伝えします。