不変ながら柔軟。サステナブルなモジュラー家具

2024.12.13

タイムレスなデザインと空間に合った家具を構築できる点が魅力の「USMハラー」。前編ではUSMの日本法人で代表取締役を務めるマルコ・クリヴェリさんに、創業からの歴史やブランドの哲学などを伺いました。後編となる今回は、東京・丸の内にある「USMモジュラーファニチャー 東京ショールーム」を訪問。USMの日本法人でマーケティング担当を務める河村智子さんにご案内いただき、プロダクトの魅力を深堀りします。

前編はこちら
世代を超えて愛され続ける「USMハラー」の歩み

「USMモジュラーファニチャー 東京ショールーム」

USMハラーはボールジョイントとスティールチューブ、メタルパネルを組み合わせることで、様々な家具を自在に作り出せる商品。ショールームではUSMハラーでデザインしたキャビネットやテレビ台、食器棚といった家具で、ホームオフィスやリビングをイメージした空間が演出されています。

お客様とともにデザインを考える場

――はじめにショールームについて教えてください。

河村智子さん(以下、河村):2009年にUSMの直営でオープンした当ショールームでは、USMハラーの様々な使い方をご覧いただけます。展示されている家具をご参考にしていただきながら、オリジナルのデザインソフトを用いてお客様のご希望に合った家具のデザインを一緒に考える形で商品をご提案しています。

ショールーム内の接客スペース。自分好みにデザインした家具を3D画像でシミュレーションできる。

――ショールームにはどのような方がいらっしゃいますか?

河村:お引越しやリフォームなど新生活を始められるタイミングでいらっしゃる方が多いですね。近年は20~30歳台のお客様も増えており『SNSの投稿を見て来た』という方や、『友達の家を訪ねたらUSMハラーがあったので、自分も欲しいと思って見に来た』という方もよくいらっしゃいます。

用途を限定しない柔軟性

――USMハラーというとオフィス用のキャビネットが有名ですが、自宅用の家具も数多く展示されているのですね。

河村:本来はオフィスでの使用を目的として開発されたのですが、住宅のインテリアスタイルがモダン化していったことで、スティール製の家具を自宅に取り入れやすくなりました。加えてコロナ禍以降はホームオフィスの需要やご自宅の模様替えをする方が増えたこともあり、ショールームでもそのようなお客様の要望に合わせた家具を中心に展示するようになってきています。

リビングをイメージしたスペースにはテレビ台やテーブル、ベンチが展示されている。

――ショールームを見ていると、使い道の幅広さに驚かされます。

河村:無限に近い組み合わせがあるので、ちょっとしたアイデアで様々な家具をデザインすることができます。例えば、サイドボードやテレビボードの下部を10cmのチューブを使って立ち上げると軽やかな印象になり、お掃除もしやすくなります。手前のチューブを抜くとロボット掃除機も通ることができるので、よくご提案させていただいています。

また10cmの長さのチューブを組み合わせたワインボトルラックは、スタッフのアイデアでデザインされたものです。こうして組み合わせ次第で様々な用途に応用できるのがUSMハラーの強みです。

10cmのスティールチューブを活用したテレビ台(上)とワインボトルラック(下)。

約60年の歴史に加わった “オリーブグリーン”

――独特のカラーも魅力的ですね。

河村:ベーシックなものからビビッドなものまで豊富なカラーバリエーションがあるのも特長のひとつです。昔購入されたお客様が組み換えや拡張をしやすいように、商品化当初に生まれたカラーは約60年間変わっていないんです。

しかし2024年、新たにオリーブグリーンが標準色としてデビューしました。元々フランスでの限定販売だったのですが、非常に評判がよかったためこの度、標準色に追加されることとなったんです。落ち着いたアースカラーはどんなお部屋にも馴染むと思います。

商品化当初から変わらぬカラーに新色のオリーブグリーンが加わった。
オリーブグリーンのキャビネット。どんな色とも調和しやすいカラーなのも人気の要因とのこと。

デザインを残したアップデートの数々

――新商品や最近のトレンドについて教えてください。

河村:基本的にUSMハラーは60年前につくられたものを継承しており、デザインは変わっていません。とはいえ時代に合わせていくことも大切ですので、細かな部分のアップデートは絶えず行っています。例えば、キャビネットのドアのヒンジはより軽くスムーズに動作するように何度か改良されています。

ドアを開けることでデスクのようにも使えるキャビネット。

河村:また機能の追加も行っており、スティールチューブの内部にLEDライトを組み込んだ「USMハラーE」という照明システムや、最近では「USMハラー ワールド・オブ・プランツ」というオプションも発売しました。これは天板に植木鉢がちょうど入るサイズの穴を空けたものです。ご自宅やオフィスに気軽に植物を取り入れられるようになっています。

鉢もUSM製で、水が漏れないよう設計されている。

日本の伝統住宅にも馴染むスティール

――USMハラーはスイス生まれの家具ですが、日本の住宅にもフィットするものなのでしょうか。

河村:パーツの組み合わせによって自在にサイズや形を選べるので、日本の住宅だから合わないということはありません。実際、日本の伝統的な家屋に取り入れているお客様もいらっしゃいます。スティール製なのでインダストリアルな印象がありますが、ハラーの水平垂直のグリッドは日本の住宅にも馴染みやすいですし、クロムメッキのチューブとボールのフレームは表面に周りのものが映り込むので、自然と空間に溶け込むのだと思います。

伝統的な日本家屋に導入された事例。

世代を超えて使い続けられる家具

――最後に、USMハラーをお使いの方や、これから使いたいと考えている方にメッセージをお願いします。

河村:USMハラーはアイデア次第で様々な使い方ができるので、楽しみながらご自身だけの理想の家具を作り出していただきたいですね。

また住む場所やライフステージの変化とともに、形を変えて使い続けられるのも大きな強みです。例えば大型のワードローブとして使っていたものを、お引越しに合わせてワークスペースにもなるサイドボードとテレビ台に転用したお客様も過去にはいらっしゃいました。ぜひご自身だけでなく、次の世代、またその次の世代と引き継いで使っていただきたいと思います。

――ありがとうございました。

ユニットを組み替えながら使うことで『次の世代に引き継いで使ってもらいたい』というUSMの哲学は、『愛着のあるものを長く使い続け、自分らしい暮らしを楽しむ』というBEARSの価値観とも近しいものを感じます。60年前にこのようなタイムレスなデザインを生み出したフリッツ・ハラー、ポール・シェアラーの先駆的な発想には驚かされるばかりです。USMの公式サイトでは、VRを活用してご自宅のお部屋に商品を導入した際の3Dイメージを見ることができます。でも実際にデザインされたものを見たいという方は、ぜひショールームに足を運んでみてください。

前編はこちら
世代を超えて愛され続ける「USMハラー」の歩み

DATA

河村智子 Satoko Kawamura

USM U. シェアラー・ソンズ株式会社
マーケティング担当

2018年USM U. シェアラー・ソンズ株式会社に入社。マーケティング担当として主に日本におけるUSMのブランディングおよび認知拡大に従事する。現在は特にデジタルマーケティングを中心としたプロモーション活動に取り組んでいる。




USMモジュラーファニチャー 東京ショールーム

東京都・丸の内にあるUSMの直営ショールーム。様々な用途、シーンにあわせてデザインされたUSMハラーのユニットや、バリエーション豊かなオプションの数々を展示している。また専門のスタッフがオリジナルの作図ソフトを使いながらオーダーメイドの家具デザインを提案するサービスも提供している。

東京都千代田区丸の内2-1-1 明治安田生命ビル 1・2F
営業時間:11:00-19:00/水曜休日
usm.com

Text by Sayoko Murakushi
Edit by Sotaro Oka
Photo by Eiji Miyaji
         

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