バイオエタノール暖炉のパイオニア「エコスマートファイヤー」
暖かさが恋しいこの季節、ラグジュアリーホテルやハイエンドな住宅で見かけることが多くなったバイオエタノール暖炉。そのパイオニアである「エコスマートファイヤー」について2回に渡ってお伝えしていきます。前編ではプロダクトのしくみとエントリーモデルにフォーカスしました。
ラグジュアリーホテルに選ばれる逸品
2004年にオーストラリアで誕生した「エコスマートファイヤー」。国内外の数多くのホテルにも設置され、クリーンにゆらめく炎で訪れるゲストを暖かく迎えています。
その魅力を実際に体験できるのが六本木のショールームです。日本で2011年からエコスマートファイヤーを展開する、株式会社メルクマール レジデンス営業担当、熊谷 瞳(くまがいひとみ)さんにお話をうかがいました。
炎のある空間をショールームで体感
1階はギャラリー的用途を兼ねたスペース。年に2回(春夏と秋冬)、テーマを設けてディスプレイを変更しています。 取材日にはエコスマートファイヤーのあるリラクシングな空間が、温かみのあるインテリアコーディネートで提案されていました。
こちらは新商品の”Modus Premium”。希少な天然石を使用することでエコスマートファイアを唯一無二のインテリアとして楽しむことができる暖炉です。
熊谷 瞳(以下、熊谷):今季より本格的に、大理石などの天然石を使ったセミオーダーの暖炉の受注をスタートしました。写真は、Patagonia Violetという人気の石材で、天然素材のためそれぞれに表情がまったく違っており、1点物のアートピースのようなものになります。他にも、おすすめの石材をいくつかピックアップしたラインナップをそろえています。
一方、地下はリビング空間をイメージした設えになっています。
――すごく落ち着く空間ですね。
熊谷:こちらのスペースでお客様の接客をさせていただくことも多いです。ソファに座ると、炎のゆらめきや暖かさ、湿度などを体感していただけます。
――ここに座っていると炎をずっと見ていられます。
熊谷:囲炉裏やキャンプファイヤーなどは、人々が集う憩いの場所を提供してくれる要素もありました。 私たちのプロダクトはより手軽に “家の中で” 炎を楽しんでいただけます。
――そもそも、バイオエタノール暖炉とはどのようなものなのでしょうか。
熊谷:トウモロコシやサトウキビなどを原料としてつくられたアルコール燃料「バイオエタノール」を燃焼させる、新しいタイプの暖炉です。バイオエタノールは燃焼しても煙や煤(すす)を排出しないため、従来の暖炉にあった煙突や排気設備等が不要になりました。そのような理由から導入のハードルが低く、設置しやすいのが特徴です。
安全性の高さは大きな魅力
火の粉が飛ぶことがないので、薪暖炉に比べて安全性が高いのも人気の理由のひとつ。
――住宅で使う場合、火を消し忘れて寝てしまったらどうなるんですか?
熊谷:燃料が燃え切れば自然に消えます。スイッチなどで操作することは特にありません。ご心配であれば必要な分だけ燃料を入れるようにしていただくとよいですね。
日常の空間に炎を取り入れるプロダクトとして実用性、安全性、デザイン性の三拍子が揃ったエコスマートファイヤ―。
熊谷:ホテルをはじめ、さまざまな施設でご覧いただいたお客様が、自宅に導入したいとご購入いただくケースも増えています。
置き型と埋め込み型がある
では、具体的にどんな製品があるのでしょうか。エコスマートファイヤーは置き型と埋め込み型の2種類に分けられます。
熊谷:エコスマートファイヤ―はインテリアであると同時に、設備としての側面もあります。埋め込み型は炎を燃焼させる機構(バーナー)をベースに、壁面にビルトインして造作します。
一方、エントリーモデルとして手軽に取り入れやすいのが置き型のプロダクト。六本木ショールームでは代表的な製品を実際に見ることができます。
熊谷:定番のデザインに関しては、お手持ちのインテリアに合わせやすい形状のものを揃えています。カラーバリーエーションは3色。ナチュラルと呼んでいるコンクリートに近い色と、白と黒になります。
熊谷:現在、置き型のプロダクトは40種類以上という豊富な選択肢があります。オーストラリアでデザインされたオリジナルの他に、日本のインテリアに合わせて国内で商品開発したモデルも一部あり、そちらも好評をいただいています。
エントリーとして人気のモデル
――日本で人気があるのはどのような商品ですか?
熊谷:1番人気は「Ghost(ゴースト)」というモデルです。エコスマートファイアヤ―は設置の際に、通常であれば周囲を60cmは空けてくださいとお願いしています。でもこの商品は、高さのあるガラスに囲まれた3面に関しては60cmの距離を取らなくても安全に置くことができます。そういった意味でも取り入れていただきやすい商品です。
熊谷:もうひとつの人気モデルが、ソファの前にセンターテーブルのように置く「Manhattan 50」です。
熊谷:バーナーの周囲には石炭をイメージしたガラス石が敷かれていて、炎を反射してキラキラと輝く様子を楽しめます。インテリアに合わせて、天然石に変えることもできますよ。
熊谷:また、コンパクトなモデルとして筒形の「T-Lite」があります。持ち運びが出来る手軽さも人気です。
炎を楽しむのにキャンドルは手軽ですが、暖炉となると少しハードルが高いと思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、これくらい小さいプロダクトからあると手が届きそうな気がしました。
加湿器いらずの保湿性
冬はオフィスでエコスマートファイアを日常的に使用されているという熊谷さん。その実感をお聞きしてみました。
熊谷:燃料がアルコールなので水蒸気が発生して、しっとりとした心地よい暖かさが部屋に充満するんです。そこがエアコンとは違う、気に入っている良い点です。
――エアコンほど乾燥しないということですか?
熊谷:そうなんです。燃焼機器(バーナー)のサイズによって暖めることができる部屋の広さがある程度決まっているんですが、加湿器を使わずにこのエタノール暖炉だけで大丈夫という方もたくさんいらっしゃいますね。
『何よりインテリアの中に炎があるとリラックスできる』と語る熊谷さん。しかし現実的に導入を考える場合、やはりランニングコストが気になります。
費用は薪の暖炉と同じくらい
――エコスマートファイヤ―を購入したら、バイオエタノール燃料を購入し続けることになりますか?
熊谷:はい、「エナジー」という専用燃料のご使用をお願いしています。炎が美しいオレンジ色になることと、煤が最も出にくい成分の配合をしていますので。
――薪の暖炉と比べて費用的にはいかがでしょうか。
熊谷:エコスマートファイアは煤、煙が出ないので、排気設備が不要です。そのため燃料費を考慮しても、薪暖炉の煙突のメンテナンスや薪の調達、保管などの維持費とほぼ変わらないと言えます。
熊谷:ヨーロッパなどでは暖炉が身近にあると思いますが、国内でも炎を囲む生活が浸透すると、より生活が豊かになっていくのではないでしょうか。今後は最初からエコスマートファイアが設置されたマンションを少しずつ増やして行ければと思っています。
いかがでしたか?
家の中で過ごす時間が重要視されている今、エコスマートファイヤ―は炎に人が集まる空間を実用的に、また安全に作り出すことができる点がとても魅力的に感じました。個人宅での導入が増えているというのもうなずけます。
次回は上級編として、造作で取り入れた実例を中心にご紹介します。どうぞお楽しみに。
EcoSmart Fire六本木ショールーム
外苑東通りに面したショールームでは定番商品の他、ポップアップ展示なども行っている。 年2回、季節に合わせてディスプレイが変わり、商品の魅力を存分に体感できる空間となっている。 ※ご案内やプランニングをご希望の場合は事前のご予約が必要となります。 ecosmartfire.mmlproducts.com 〒107-0052東京都港区赤坂9-6-23 赤坂葵ビル
熊谷 瞳 Hitomi Kumagai
株式会社メルクマール 営業本部 レジデンシャル事業部 チーフ
主にレジデンシャルの営業を担当。青山にある法人向けのコントラクトショールームにて日々エコスマートの魅力を伝えている。