感性を磨き、豊かな暮らしを描ける街「白金台」

2025.11.28
都内屈指の高級住宅地・白金台の駅前にショールームを構える「西村貿易」。25年に渡ってこの地で高級クラシック家具を販売する老舗です。前編に引き続き、代表取締役を務める西村 広さんにインタビュー。長年見てきたからこそわかる街の変遷や魅力、このショールームに訪れる人々から見えてくる住人像を伺いました。
クラシック家具で構成された上質な空間が広がる「西村貿易」の東京ショールーム

 “陸の孤島” から至便な立地へ

「西村貿易」のショールームは、東京メトロ南北線・白金台駅の出口からすぐに見える瀟洒な門がシンボルマーク。ここでは “生活をアートにしつらえる” をテーマに家具の販売だけでなく、クラシック家具の魅力を最大限に引き出す空間のトータルコーディネートも行っています。

――この地でショールームを開いた経緯をお伺いできますか。

西村:元々は創業の地・京都ショールームを拠点に、関西を中心とした百貨店でセレクトショップを展開していました。その後、事業拡大のため東京の百貨店にも進出したのですが、そこから関東のお客様が『より多くの商品を見たい』と京都までお越しくださるようになったんです。
するとお客様から『東京にも商品がゆっくり見られる場所があったら…』というお声をしばしば頂戴するようになり、先代である父(現・会長)が物件探しを始めたんです。

目黒通り沿いに建つショールームの外観

西村:東京については右も左もわからない中、聖心女学院出身の知人から『東京は “色” が名前につく街が良い』という助言を受け、赤坂や青山も候補に挙がったそうです。最終的に東京では珍しいワンフロアで約400㎡のショールームが見つかり、その知人の後押しもあって白金台に店を出すことを決めたと聞いています。

――開店当時の白金台はどんな街だったのでしょうか。

西村:2000年1月にオープンしたのですが、その頃は周辺に何もなく “陸の孤島” と呼ばれるほどでした。しかし同年9月、ショールームの目の前に白金台駅が開業しバス停も設置されたことで、周囲の環境が整い、人口も増え、自然と多くの方に知っていただけるようになりました。

また品川や羽田空港へのアクセスも格段に良くなり、全国からお客様にお越しいただけるようになったんです。

ショールームのすぐそばにある「白金台」駅とバス停。かつて何もなかった街とは思えないほど、今では多くの車や人が往来している。

西村:改めて振り返ると、ショールームを開設する前には想像もしていなかったことばかりで、父と話すたびに『私たちは本当に恵まれている』という言葉が自然と口をついて出てきます。この街の変化とともに、今もなお白金台でお客様をお迎えできることへの感謝を忘れずにいたいと思います。

邸宅に映る白金台の住人像

西村貿易では家具だけでなく壁紙や建具、カーテンに至るまで、住空間をトータルでコーディネートしてもらえます。提案や家具の搬入時には、実際にお客様のご自宅を訪れるそうです。白金台にお住まいのお客様にご提案された際のエピソードを伺いました。

空間全体のコーディネートはもちろん、玄関やダイニング、あるいは壁面だけといった部分的なデザイン提案や既存家具とのブレンド対応も可能

――そのお客様はどのような方だったのでしょうか。

西村:ショールームオープン当初からのお客様で、ご近所に15年ほどお住まいのご夫婦でしたね。海外経験が豊富なこともあってか、弊社が揃える個性的かつ遊び心あるコレクションにご興味をお寄せいただき、トータルコーディネートをご依頼いただきました。

――実際にコーディネートしたのはどのようなお宅でしたか。

西村:600㎡越えのペントハウスで、50畳のリビングと本格的な茶室を備えた、とても贅沢な造りのお宅でした。大変広いお部屋だったので、まず『リビングルームで “声” が聞こえるようにしてほしい(笑)』とご要望されていたのが、特に印象に残っています。

過去に手がけた別のお客様の事例。家具の魅力を最大限に引き出すコーディネートが強み。

――西村さんはどのようなご提案をされたのですか。

西村:内装の雰囲気とお持ちの家具があまりマッチしていないと感じられていたので、弊社の家具コレクションからお客様のお好みに合うスタイルを選び、ラグジュアリーでありながらリラックス感のあるインテリアをご提案しました。

お客様の好みに合わせて多彩なテイストにも対応できる

“緑” と “文化” が集う街

西村さんご自身も7年ほど前から白金台と京都の2拠点生活をされているそうです。実際に住んでいて感じる街の印象を伺いました。

西村:「自然教育園」があったり、プラチナ通りにイチョウ並木があったり、とにかく緑が豊かですよね。そのせいか、都心にありながら殺伐としておらず、静かで落ち着いています。行き交う方々も上品で、皆さん住環境を大切にされている印象です。

西村:それから、歴史ある建物や文化財も点在していますよね。ちょうどこの建物の裏にある「瑞聖寺(ずいしょうじ)」も国の重要文化財です。ついこの間は「東京都庭園美術館」で開催されていたヴァンクリーフの展覧会に行きました。こういった場所に行くと、つい壁紙や柱のデザインに目が釘付けになってしまいます。

(左)住宅地にひっそりと佇む「瑞聖寺」
(右)境内にあるモダンな庫裡[*]は隈 研吾氏が設計を手がけたもの
*庫裡(くり):住職の居間や台所を備えた建物

――白金台にお住まいのお知り合いの方は、街についてどのような印象を持たれていることが多いですか。

西村:長年在住のお客様からは、かつてのお屋敷がマンションに変わり、人口が増えたというお声をよく聞きます。実際、白金台の街の開発以降に移住されてきた若い世代と昔からお住まいの方々が共存している印象がありますね。教育環境が充実しているのが若い世代にとって魅力なのかもしれません。

プラチナ通りのセンスが光る名店たち

――西村さんのおすすめのお店を教えてください。

西村:プラチナ通りにある「ショコラティエ・エリカ」は、お客様への贈答品を購入する際によく利用しています。ここ以外に店舗はなく、百貨店などにも出ていないので、白金台でしか手に入らないんです。2階にギフトラッピングの専門店が入っていて、包装もとてもセンスが良いんですよ。

「ザ テンダーハウス」も、お客様に近辺でのお食事処を尋ねられた際によくおすすめするお店です。気持ちの良い空間で食事やお茶を楽しめるので、お客様との打ち合わせにもよく利用しています。

好きなものから活力を得る住まいを

――最後に、西村さんが考える “豊かな暮らし” とはどんなものですか。

西村:好きな物に囲まれ、それらが最高のしつらえで存在する――そんな空間が豊かさにつながるのではないでしょうか。これは私たちが掲げる “生活をアートにしつらえる” というコンセプトにも通じる考えです。お客様を見ていてもお好みに合う家具やアートを選び、それらが最も美しい形で空間に収まった瞬間に、心から満足されているのを感じます。

インテリアは自分の内面を映す “鏡” のようなもので、住む方のこだわりが詰まった空間には、その方の人柄や美意識が自然と表れるんです。私自身も自宅を好みのインテリアでコーディネートし、最高のしつらえにしているので、帰るたびに気分が上がります。そんな空間から活力を得られることこそ、本当の豊かさだと感じますね。

都心にありながら穏やかで、美術館や文化財で目を肥やすことができ、センスの光る店が集う「白金台」。西村さんのお話から伺えたのは、ここに住む人々が持つ “暮らし” への強いこだわりでした。日頃から感性を磨き、それを住まいに取り入れて昇華させる。そんな好循環が望める街と言えるでしょう。

またBEARSでも、住空間にこだわり抜いた物件プロジェクトが進行中です。近くご紹介できる予定ですので、どうぞ期待ください。

Edit & Text by Sotaro Oka
DATA

西村 広 Hiroshi Nishimura

西村貿易株式会社 代表取締役
京都出身。カナダ留学から帰国後、世界各国から厳選した家具やインテリアアクセサリーの仕入れやブランドディレクションに携わる。現在は代表として企業理念と美意識を体現するブランドコミュニケーションと空間デザインを手がけ、その世界観を国内外へ発信している。

西村貿易 東京ショールーム

2000年に白金台でオープンした「西村貿易」のショールーム。欧米8ブランドの家具だけでなくランプやデコール、シャンデリア、絵画などを取り揃え、それぞれの世界観を存分に味わえる。また全ブランドに精通したスタッフが常駐しており、家具の説明のみならず空間演出のスタイリングアドバイスまで担っている。

〒108-0071 東京都港区白金台3丁目2-10 白金台ビル1F
TEL:03-5793-3694
営業時間:10:00~18:00(月曜定休)
maitland-smith.jp

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