クルーズのように山々を巡る、ヨーロッパ流スキーの楽しみ方

2026.02.27

多くの感動を生んだミラノ・コルティナ五輪が閉幕し、3月6日からはパラアスリートたちがメダルを懸けて雪山や氷上で躍動します。ウィンタースポーツの機運が高まっている今こそ、スキー大国へ旅立つ計画を立ててみてはいかがでしょうか?

今回は元アルペンスキーヤーで全日本チームのヘッドコーチ経験も持つ浦木健太さんと、最近スキーを楽しみに各国を巡っているBEARS代表・宅間の対談をお届け。オーストリアのスキーブランド「KÄSTLE(ケスレ)」の日本総代理店を務め、『ヨーロッパのスキー文化を日本に伝える橋渡しをしたい』と意欲を燃やす浦木さんとの対話を通じて、ヨーロッパでのスキーの楽しみ方に迫ります。

取材に応じてくださった浦木健太さん。ヨーロッパ各地のスキーリゾートを巡っている生粋のスキーヤー。

スキーは移動手段。上手く滑る必要はない

――日本とヨーロッパで、スキーの楽しみ方に違いはありますか?

浦木健太さん(以下、浦木):日本でスキーをする人たちは『上手くなりたい』と技術面を追求する方が多いですよね。一方でオーストリアの人たちはスキー場で “滞在時間をいかに楽しむか” ということを大事にしています。半分くらいの時間はレストランでビールを飲んでいる人が多いんじゃないかな(笑)

宅間理了(以下、宅間):景色のいいテラス席から埋まっていきますよね。日本のスキー場は雪が降り続いていることが多いけど、ヨーロッパはいつも晴れているイメージなので、外で過ごすのが気持ち良いのかな。

浦木:晴れの日は多いですね。でもその分、昔に比べるとヨーロッパ全体で雪不足が課題になっています。だからこそ、こちらのスキー場は夏営業に力を入れ始めているんです。夏は雪を作らなくていいので、それだけで大幅にコストが下がるんです。リフトの1回券を冬の1日券と同じくらいの金額で販売したり、マウンテンバイクを使ったレジャーを充実させたりしていますね。

開放的なテラスで食事を楽しむ人々。晴れていると寒さはさほど気にならず、景色と澄んだ空気を堪能できる。

宅間:ヨーロッパでは滑り込んで技術を磨くというより、スキーを使って景色の良いスポットに移動していくという感覚があります。スキーって、もともと街から街への移動手段として始まったんですよね?

浦木:そもそもは移動手段ですね。徒歩で移動するのにうまく歩く必要がないのと同じで、スキーもうまく滑る必要はないんです。ただし、長い距離を滑るために身体に負担のかからない技術は必要かもしれません。ヨーロッパのスキーリゾートはとにかく広大なので、数日かけていろんな地形を移動しながら、クルージングのように景色を楽しむ。その感覚は日本とだいぶ違うかもしれませんね。

オーストリアを代表するスキーリゾート「アールベルク」の全体マップ。コース総延長305kmと広大なエリア内に、多数のスキー場が点在していることがわかる。
浦木さんが販売している「ケスレ」のスキー板。日本ではショートターン(短くて細かいターン)用、ヨーロッパでは安定感のある長めのモデルが人気とのことで、それぞれの楽しみ方の違いがよくわかる。

“スキーだけじゃない” リゾートの楽しみ方

――スキーリゾートではどのように過ごすのでしょうか?

浦木:1泊2日や日帰りというより、1週間以上とできるだけ長い時間をとって同じところに滞在する人が多いですね。午前中にスキーをしてゆっくりランチを食べて、宿に帰ったらサウナで体を温めて、そこから街の散策に出かける。自然とそんな流れになります。

山麓の街で食事やショッピング、レジャーを楽しみ、アプレスキー(フランス語で “スキーの後” )を充実させるのがヨーロッパ流。

宅間:日本の場合、『滞在中はとにかく滑ろう!』という人が多いですよね。僕はある程度滑ったら、街を歩いたり温泉に入ったりする方が好きです。

浦木:良いですね。スキー場はスキーをするためだけの場所ではないですから。冬でもスキー板を履かずにゴンドラで山頂まで登って、食事や景色を楽しんだら降りてくるという観光客もたくさんいます。そういう楽しみ方があっても良いと思いますね。

――スキー場ではどんな食事を楽しむのでしょうか?

宅間:基本的には地元料理が中心ですよね。オーストリアの料理とか、イタリアだったらパスタとか。

浦木:海外からのお客さんも多いので、その土地の料理を出すところが多いですね。僕が好きなのはイタリア料理です。日本で言うと、僕の実家のある石打丸山ではスキー場のど真ん中に焼肉屋があったり、おしるこもあって日本らしい温かみがあって好きですね。

宅間:そんなところがあるんですか!日本のスキー場にある食事処ではカレーやラーメンなどエネルギー補給を重視したメニューが多く、無機質な空間のところが多い気がします。浦木さんがおっしゃるような食事が楽しみになるお店や素敵な空間のレストランが、日本にももっと増えていくと良いですね。

最高の景色と空気の中で食べる、地元ならではの料理は格別。

宅間:あと、みんなビールやワインを飲みますよね。ちょっとお酒を飲んで次の山に行って、移動した先でまた飲むといった感じで、まさにクルージングのように楽しんでいる印象があります。

浦木:ビールは “水分補給” 、ワインは “食事とのペアリング” という感覚で、上品に飲んでいる方が多いですよね。飲みすぎてへべれけで滑っている人は見たことがありません(笑)

滑った後はビールで乾杯! 最高の景色とともにお酒を飲むのもスキー場の楽しみの1つ。

次ページ▶ 浦木さんがおすすめする、ヨーロッパのスキーリゾートをご紹介

DATA

浦木 健太 Kenta Uraki

1975年東京生まれ。中学まで新潟県で過ごし、高校はアメリカへ。卒業後は全日本アルペンチームに10年間在籍し、ヨーロッパ各国を転戦する。その後、中国アルペンチームヘッドコーチを経て、自身の会社経営に従事。2018年から全日本アルペンチームのヘッドコーチとして雪上に復帰する。2022年にアルペンチームから離れ、現在はケスレスキー日本総代理店である株式会社エクスパンダをオーストリアからリモート経営している。

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