住む人が作り出す街のゆとり「恵比寿」
おしゃれな人が行き交い、トレンドを肌で感じることができる街、恵比寿。ここは訪れて楽しいのはもちろん、理想的な住環境が整った、とても暮らしやすい場所でもあります。ランドマークの「恵比寿ガーデンプレイス」の商業棟が昨年リニューアルオープンしたのも大きな話題。プロジェクトの統括責任者を担われた「サッポロ不動産開発」の中川剛士(なかがわこうじ)さんに、恵比寿の魅力を伺いました。
街の名前の由来は「ヱビスビール」
「恵比寿」という地名は、元々ヱビスビールを製造・発売していた日本麦酒醸造有限会社(現在のサッポロビール)の貨物専用駅がここにあったことに由来しています。JR恵比寿駅が開業したのは1906年(明治39年)10月。その後、1928(昭和3)年1月に渋谷町下渋谷の伊達跡と呼ばれていた辺りの地名が恵比寿通りと改称されました。一企業の商品名が駅名となり、ひいては地名の起源ともなった極めて珍しい例です。
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交通の便が良く、必要なものはなんでも揃う
現在の恵比寿駅はJR山手線・湘南新宿ライン・埼京線、東京メトロの日比谷線が乗り入れるターミナル駅。駅の西側、駒沢通りを挟んだ「恵比寿西」「恵比寿南」、さらには目黒区三田の一部を含めた地域が恵比寿と呼ばれています。どこに出るにも交通の便がよく、代官山や中目黒、広尾や白金などが徒歩圏内。恵比寿を居住地に選んだ人の多くがこの立地の良さを理由に挙げています。
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日常生活に必要なものがほとんど何でも揃うのもこの街の大きな魅力。特にスーパーはバラエティ豊かです。駅直結のアトレの中に「ザ・ガーデン自由が丘」「成城石井」があるほか、駅の南側、西側にはそれぞれ「ピーコックストア」が出店。三田エリアに位置する「恵比寿ガーデンプレイス」内には、「明治屋」やスーパーライフの旗艦店「セントラルスクエア」があるという充実ぶり。
医療施設は「厚生中央病院」と「東京共済病院」の2つの総合病院がいずれも恵比寿駅から徒歩10分ほどの場所にあるので安心です。
日常の質を高める「恵比寿ガーデンプレイス」のリニューアル
昨年(2022年)11月にこのエリアのランドマークと言える「恵比寿ガーデンプレイス」の一部が地域密着型の商業施設としてリニューアルオープンしたことも見逃せません。以前、恵比寿三越があった頃に比べて、何が変わったのか。プロジェクトの統括責任者を担われた「サッポロ不動産開発」の中川剛士(なかがわこうじ)さんに、お話を伺いました。
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――新しくなった「恵比寿ガーデンプレイス」の「センタープラザ」は“日々を自分らしく楽しみながら恵比寿に暮らす、働く、訪れる人”をイメージされているそうですね。
中川剛士さん(以下、中川):はい、その通りです。実は以前の施設は広域からお越しいただくことを念頭に作られたものでした。一方、今回のリニューアルは、一番身近にいる地域の皆さまにとって開かれた場所を一緒に作っていく、という考えに基づいています。近隣にお住まいになられている方やここで働かれている方たちが、日常に必要なものの質を少しでも高めたいと思われたときに、そのニーズに合ったものを提供していくというコンセプトです。
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――恵比寿三越があった頃とはかなり客層が変わりましたか。大人の街というイメージがあったのですが。
中川:恵比寿に昔からお住まいの方に加えて、お子様連れの若い年代の方が日常的に利用されている風景が、以前に比べてとても増えました。ここ最近は近隣のエリアでマンション開発も多く、新たにお住まいになられる方が多くなってきていることが背景にあると思います。新旧の世代が共存して暮らしているのがこの街の特徴です。
都会の真ん中で子どもたちが遊べるイベント
――1階の正面玄関を入ってすぐに「THE NORTH FACE CAMP」があるのがとても印象的でした。他にもアウトドアやスポーツウェアなど、今の時代にマッチしたお店が並んでいますね。
中川:ありがとうございます。例えばアパレルメーカーの「ゴールドウイン」は、子育てされている方に向けて立ち上げた「PLAY EARTH KIDS(プレイアースキッズ)」という新しいブランドを当施設でも展開しています。不要になったキッズアイテムをアップサイクルする取り組みや、頻繁に開催されるワークショップ等、貴重な親子の体験を提供しています。
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――リサイクルも現代のキーワードですよね。
中川:昨年「ゴールドウイン」と共同で開催したイベントで、木材を使った遊具を期間限定で広場に設置したところ、近隣の方にたいへん喜んでいただきました。「センタープラザ」は他にも環境に配慮する意識を持たれているテナントさんが多いので、これから一緒に新しい取り組みをどんどんやっていきたいと思っています。
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「恵比寿文化祭」をエリア全体のお祭りに
――ガーデンプレイスでは「恵比寿文化祭」を毎年、開催されているそうですね。
中川:はい、「恵比寿文化祭」は今年で12年目になります。この企画は近隣にお住まいの方やお子さんの習い事の発表の場としてスタートしました。毎年秋に街の方たちの活動の場として施設内の広場などを提供させていただいています。
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――今後は何か新たな展開がありますか?
中川:これから周りの企業さんともご相談しながら、「恵比寿ガーデンプレイス」だけではなく、恵比寿の “街のイベント” にしていこうと考えています。ここではこんなこと、あちらではあんなことというように、会場を増やしていく。そのような新たな形に少しずつ変わっていければいいなと思っていますね。
「センタープラザ」のリニューアルもそうですが、当社は恵比寿というこの場所でサッポロビールも含め、事業をさせていただいています。その中で、街づくり的な視点も持ちながら、街にどう貢献していくかを考えていくのが私たちの使命だと思っています。
新旧の世代がバランスよく共存する
――長年、恵比寿に関わって来られて、この街の魅力はどんなところにあると思われますか?
中川:恵比寿は働く場所と住む場所が近い距離にある、とてもコンパクトな街です。そのために、都心にありつつも時間の余裕を感じながら過ごせる街であるところが大きな魅力だと思います。
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中川:ガーデンプレイス内には映画館、写真美術館があり、近隣ですと山種美術館のほか、ギャラリーも数多くあります。文化、芸術に触れられる、適度な刺激も得られるというところのバランスがすごくよく取れている。また、ここではあまり格好をつけて過ごさなくていいムードがあり、そのような意味でもゆとりが感じられるところが魅力だと思います。
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――恵比寿ガーデンプレイスを知り尽くした中川さんのおすすめは何かありますか?
中川:数えるほどしか行ったことがないですけれど、やはりフレンチレストランの「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」は特別な場所だと思います。1階は比較的カジュアルで、上の階は本格的なフランス料理が堪能できます。「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」のように昔からある誰が見ても高級なものと、今の時代らしい新しいものの両方が共存するのが、この場所の良さだと思いますね。ここを訪れてくださる人にも同じことが言えると思います。
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『ここに戻って来たい』と思えるような街に
――これから恵比寿がどのような街になっていって欲しいですか。
中川:恵比寿で幼少期を過ごしたお子様にとって、ここで暮らしたことがとてもいい思い出になったら嬉しいですね。そして大人になったときに、“住む場所” “子育てする場所” “働く場所”として、また恵比寿を選んでいただけるようになるといいなと思っています。
人にはそれぞれ故郷があって思い出があると思います。暮らしに対する意識が変わりつつある中で、『この場所に戻ってきたい』と思ってもらえることがずっと続いていく。そんな街に、時代に合わせて変化しながらなっていくといいなと思いますね。
いかがでしたか。
住む場所としての恵比寿は、都心ならではの文化的な刺激と、質の良い暮らしがバランスよく長く手に入る街。長く住んでいる大人世代と、新しく住み始めた子育て世代が、心地よく共存しているのも特徴でした。そしてなんと言っても、ここに住む人たちの “ゆとり” が、この街の上質な雰囲気を作り出しています。
次回の(後編)では、恵比寿在住歴約20年の方に恵比寿の魅力のひとつでもあるグルメについて、“恵比寿のいい店”を紹介していただきます。どうぞお楽しみに!
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中川剛士 |Koji Nakagawa
サッポロ不動産開発株式会社
恵比寿事業本部 AM統括部長
兼 経営企画部REIT準備室
https://www.sapporo-re.jp/
1977年生まれ。
2003年北海道大学大学院修了後、総合建設コンサルタント入社。
2008年サッポロ不動産開発入社。開発企画部、経営戦略部、札幌事業本部AM統括部を経て、2022年より恵比寿事業本部AM統括部にて、
恵比寿ガーデンプレイスの運営事業と恵比寿でのまちづくりの推進を担当している。