都会でも自然体で暮らせる街「代々木」
新宿と原宿の中間に位置し、抜群の利便性を誇る「代々木」。その一方、代々木公園、代々木八幡などの広大な緑地があり、美しい自然を感じられることも大きな魅力です。賑やかな代々木駅から少し歩みを進めると、高台には閑静な住宅街が広がります。代々木の街での暮らしはどのようなものなのでしょうか。10年以上ご家族でお住まいになっている方にお話を伺いました。
代々受け継がれる木々から生まれた地名
「代々木」という地名の由来には、いくつかの逸話があります。そのひとつが、江戸時代に大名・旗本の屋敷地があり、村人が代々、豆科の落葉高木であるサイカチの木を植えていたからというもの。ほかにも、かつて明治神宮御苑の東門近くにあった「代々木の大樅(おおもみ)」と呼ばれるモミの木がその由来という説もあります。現在は焼失してしまいましたが、非常に大きな樅の木で、黒船がやって来たときはその動静をこの木の上から見張ったそうです。
右:代々木の由来になったとも言われる木々がかつてあった、明治神宮の西参道鳥居
幻のオリンピックと共に発展した都市
代々木がある渋谷区が生まれたのは昭和7年。渋谷町、千駄ヶ谷町、代々幡町が合併し、他の79町村とともに大東京35区の一環として誕生しました。
昭和11年には次期オリンピック開催地として東京が選ばれ、明治神宮の裏参道口~代々木駅前~新宿駅南口を結ぶ道路がマラソンコースとして、また代々木駅前から参宮橋間がその補助道路として指定されます。このオリンピックは結果実現には至らず、『幻の東京オリンピック』と呼ばれますが、招致のため会場建設が進められたことは街の開発のきっかけになりました。
代々木での暮らしは実際にはどのようなものなのでしょうか。今回お話を伺ったのは、10年以上前からご家族で代々木にお住まいの金森万里子(かなもり まりこ)さん。海外不動産投資会社にお勤めで、3人のお子さまを育てるワーキングママです。
――どのようなきっかけで代々木に住まわれることになったのでしょうか?
私は12年ほど代々木に住んでいます。それまでは家族で勝どきのタワーマンションに住んでいました。高層で眺めも良く、お友達もたくさんいて楽しく過ごしていたのですが、手狭になってきたのと、2011年の東日本大震災を機に城西地区の戸建てを探すようになり、子育て環境、学区を考慮して、現在の住まいを選びました。
――子育ての環境を重視されたのですね。
そうですね。渋谷区は子育てにかなり力をいれていて、意外にも保育料が他の区より安く設定されていたり、中学生まで医療費が無料だったりと支援が充実しています。小学生にタブレットを配布したデジタル教育も、全国に先駆けて行っています。
――最先端の街、渋谷区ならではですね。ご自身にとって代々木とはどのような街だと思いますか?
都会で近寄りがたい雰囲気かと思いきや、昔から住んでいる人も多く、下町のような温かさと懐の深さがある街だと思います。代々木公園や明治神宮などの緑も多く、空気がのんびりと流れていますね。
代々木の中でも本町(現在の元代々木町のこと)は古くから住んでいる方が多く、5丁目は大使館が近いこともあって、また少し違った雰囲気です。家賃も120m²で200万など高額なところもありますね。それに比べると、我が家の付近は住宅を購入した当時のことを思うと穴場でした。また、1丁目、 2丁目、 3丁目がそれぞれ別で開催するほどお祭りには力を入れていて、街ぐるみのイベントごとも多いです。
――ご近所付き合いはありますか?
ご近所の方とは良い関係性が築けていると思います。仕事で遅くなるお母さんがいればそこの子どもを預かったり、私もお願いしたり。子どもが外で何をしているのかわからないのは心配なので、ご近所の父母たちとのネットワークを広げて、皆で見守っています。
ほかにも、コロナ禍で売れなくて困っていた築地の卵業者さんから卵を安く譲り受けたので、家のガレージでご近所の方々にシェアしたこともありましたね。イベントごとも一緒に楽しんでいます。
――気取らずに付き合えるご近所友達がいるのは魅力ですね。実際に暮らしてみてこの街の住み心地はいかがですか?
とても生活しやすく、一度住んだら他のところには住めないですね。ここは、下町感と都会感のバランスが程よく、住んでいる人も肩の力の抜けた自然体な方々ばかり。すっかり代々木に病みつきです。引っ越してくる前は不安もありましたが、実際に住むと地元密着型で、飾らずにいられる街だと感じています。ご近所付き合いが続いている友人たちも、長く住んでいる方が多いですね。引っ越すとしても同じ代々木エリア内で探しているという話をよく聞きますよ。
――日常のお買い物はどうされていますか?
車で中野坂上のスーパーに行くことが多いのですが、ちょっとした手土産や贈り物を買うときは新宿の高島屋に行きます。渋谷より人混みもなく、ブランドなども一通り揃っていて、高島屋ゴールドカードを持っていれば駐車場も3時間無料になるので便利に使っています。
近所には、美味しいパン屋さんやコーヒーショップ、自然食品を扱うお店などもあります。日々の暮らしの中で、さりげなくいいものを選べるのはうれしいですね。
――休日はどのように過ごされていますか?
おしゃれな暮らしをしていなくて恐縮ですが‥‥子供がフラッグフットボールをやっているので、週末は荒川や江戸川などの河川敷での練習に夫と一緒に付き合うことも多いです。ご近所の方と相乗りして車で遠征に出かけて、帰ってきたら我が家で打ち上げをしたりもします。
――親子で一緒に楽しめるスポーツがあるのは良いですね。そのほか、お子さんはどのような場所で遊んでいますか?
近所の遊び場所としては、「オリンピックセンター」をよく活用しています。テニスコートを借りて、友人たちと集まってテニスをしたり。また、「ポニー公園」には乗馬倶楽部があり、1歳から乗馬も楽しめます。「渋谷はるのおがわプレーパーク」という、どろんこになって心ゆくまで自由に遊べる場所もありますよ。
春になると、代々木3丁目にある「文化学園大学」の桜を見に散歩に出かけたり、一粒万倍日のような縁起の良い日は、家族で明治神宮に参拝にいくこともありますよ。
右:「渋谷はるのおがわプレーパーク」。『自分の責任で自由に遊ぶ』をモットーにした公園で遊びをサポートするプレーリーダーやスタッフが常駐している
都心の便利さと落ち着きを兼ね備えた街
――金森さんにとって、魅力的な街とは? 代々木のどのようなところに魅力を感じていますか?
自分が気取らずに肩の力を抜いて過ごせること、また生活において不便がないことですね。ロケーションに関しては代々木は緑も多く、どこへ出るにも便利です。渋谷にも新宿にも歩いていけますし、意外にも都心の騒がしさはなく、落ち着いていて静か。ちょっとコーヒーを楽しもうと思ってカフェに行っても、代々木は安心価格のお店が多いので気楽です。年頃の娘たちは、自転車で代々木公園や原宿のほうに出かけていますね。
人も魅力のひとつです。自然体でセカセカした感じがないというか。クリエイターなど自由業の方も多いですね。
――ご近所にお気に入りのお店はありますか?
代々木駅に向かっていく坂のところにある「おひつ膳 田んぼ」は、おにぎりが人気です。昔は仕事で忙しいときなど、電話でおにぎりを注文しておいて買って帰ったこともありました。今は行列ができる人気店になっています。
代々木4丁目にある韓国料理「アシア」は、出汁が効いた参鶏湯に、ホルモンタンがおいしいですよ。産後はここのおばちゃんに娘を抱っこしてもらい、その間に食事させてもらうなど、とてもお世話になりました。家族で食事をするときは、代々木駅近くの「神戸牛炭火焼肉 いく田」に行くことも。おいしい焼肉が食べられるお店です。
――金森さんにとって、豊かな暮らし、理想の住まいとはなんでしょうか?
毎日の暮らしの中で気分転換できる場所があったり、家族や友人と楽しむ空間があることでしょうか。
自宅にあるルーフバルコニーで空を眺めながら寛ぐひとときは、私にとって豊かさを感じる時間です。また、気心の知れた友人家族を我が家に招いて過ごすのも楽しいですね。友人たちに好評なのが、キッチンに接した場所にあるダイニング。会話をしながら料理をして、出来上がったらすぐに出せるので、『お店のオープンキッチンみたい』と喜んでくれています。子ども達もお泊りをしたり、家族ぐるみのお付き合いができるのもうれしいですね。
周りを意識して無理することなく、自分が本当に心地よく住めるのはどんな場所なのか。気取らず、頑張りすぎずにいられるのはどんな場所なのか、自分のしたい暮らしに意識を向けることが大切だと思います。
金森さんのお話からは代々木を愛する気持ちがひしひしと伝わってきました。
人々が思いやりを持ち、地域で子育てを行っている街。古くから住む人も多いなかで、新しいものを受け入れ、融和する街。そして誰もが自然体で暮らしている街。都心にいながらこんな暮らしができることこそが、ほかにはない代々木の魅力なのかもしれません。
金森万里子|Mariko Kanamori
アンナアドバイザーズ株式会社
https://anna-advisors.com/
不動産、金融系の会社で派遣社員として働きながら資産運用に興味を持つ。様々なセミナー参加を経て2015年頃から不動産投資と出会い、海外不動産投資に目覚める。
現在は、カンボジア投資(金融・不動産等)をメインとし、カンボジアと日本を拠点とする不動産アドバイザー「アンナアドバイザーズ株式会社」にて、海外不動産を活用した資産運用をお客様にアドバイスさせていただいています。