収納からキッチンまで。「モルテーニ東京」で出会う理想の空間

2024.05.17

今年90周年を迎えるイタリアのハイエンドな総合インテリアブランド「モルテーニ」。前編ではその世界観を6つのキーワードでお伝えしました。今回の後編では、青山の旗艦店「モルテーニ東京」をナビゲート。モルテーニの“今”をご紹介していきます。

5エリアから成る約1000坪の店舗

「モルテーニ東京」があるのは南青山の閑静な場所。2棟5エリアで構成された約1000坪の店舗では、リビングからダイニング、クローゼット、ベッドルームまで、すべてモルテーニスタイルでコーディネートされた空間が広がります。

ここは2016年にクリエイティブディレクターに就任したヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンが世界で初めてディレクションした、Molteni&C HOMEというコンセプトルームです。

φ2000の大理石のテーブル「マテオ」は圧巻。

住まいの主役になるキッチン

モルテーニの新しいプロジェクトの象徴として、家具とキッチンのトータルコーディネートが可能になったことが挙げられます。以前は個別に展開されていた2つの要素を初めて1つの世界観で見せたのが、「モルテーニ東京」でした。

今まで日本国内にはなかったイタリアンスタイルのキッチンを他の空間とのトータルなコーディネートで提案。

在宅時間が長くなった今、キッチンはとくにクローズアップされている場所。モルテーニのキッチンは、住まいの中心になりうるステージのような空間です。ここで料理を囲み、家族や親しい人が集まる。そんなシーンを想像すると、とてもワクワクしてきました!

「自然との調和」がコンセプト

メインエントランスがある建物では、リビングスペースが2フロアで展開されています。コンセプトは「自然との調和」。ヨーロッパでは元々、重要視されていた考え方ですが、コロナ禍を経てさらに関心が高まりました。

エントランスから階段を降りてB1へ。
中庭をイメージしたB1フロアのディスプレイ。

そのような時代背景を反映して、まさに自然由来の素材や色で構成されているのがモルテーニのリビング。ファブリックについてはすべて、天然素材を30%以上使った生地が採用されています。

粘土から作るレンガや、砂の色、歴史的にも古くから使われている鉱物の錫(すず)、植物のグリーン。外の世界と住まいのムードがナチュラルなグラデーションで調和しているので、ほとんど無意識のうちに自然を感じることができるのです。

日本においても高級感のあるインテリアは自然と一体化するスタイルが主流。モルテーニの世界観はそのお手本とも言えるのではないでしょうか。

新しいモルテーニを象徴する「シナモン」

1Fのリビングスペースでひときわ存在感を放っているグリーンのラウンジチェアがありました。日本人デザイナー深澤直人氏がデザインを手がけた「シナモン」です。昨年(2023年)秋に登場したこのラウンジチェアは、今、インテリア界の注目の的。


リビングの一角にポーンと置かれた「シナモン」は、そのまろやかさで場の空気を一変させる。ネーミングの由来はサンリオの人気キャラクター“シナモン”。雰囲気が似ていることから名づけられた。

モルテーニで長年アートディレクションにも携わってきた ニコラ・ガリッツィアは、「シナモン」について次のように語っています。

『豊かな生活を考えるときに、空間から柔らかさや優しさを感じられることがとても重要です。深澤さんのおかげでそれが実現できたと思っています。モルテーニに新しい風を吹き込んでいただきました』

これまでモルテーニの空間は水平垂直のラインが際立つミニマルなデザインで構成されていました。それがコロナ禍を受けて、丸みを帯びた温かみのあるデザインへと変化しているのです。

たとえば、テーブルトップの縁。目で見ても、触ってみても、角ばったところがありません。そして、柔らかい線に囲まれていると人はリラックスできます。

スタイリッシュな空間から居心地の良い空間へ。「シナモン」はその変化を象徴する、モルテーニの新しいアイコンと言えます。

また、モルテーニには、近年、最新の技術で復刻したイタリアの文化的財産、名匠ジオ・ポンティの製品があります。「シナモン」はそのジオ・ポンティの家具に匹敵するような、未来の“名作”としての役割を担う特別な椅子でもあります。

間接照明の機能を備えた収納

モルテーニの今を語る上で、見逃せない要素が「光の演出」。リビングやワードローブの収納は、棚板の下にLEDのライトが入っていて、それが間接照明の役目を果たしているのです。きれいに整理するだけの家具から進化を遂げた、新しい収納のあり方に感服させられます。

収納でありながらライティングの機能を兼ね備えている。

この光の演出には驚くようなこだわりがありました。LEDライトが一度、背板(バックパネル)に当たり、その反射で飾られているものが美しく照らされるように綿密に設計されているのだそう。

ライトの透過光で美しく浮かび上がるウィスキーのボトル。

さらに、空間の中で目に入った時に眩しさを感じないようにと、意図的に15度ほど傾けてライトが設置されていました。こうした細かい配慮を重ねて作られた優しい光が、居心地の良い空間を作り出しています。

眺めて楽しむウォークイン・クローゼット

リビングスペースとは別棟に設けられた「ナイトエリア」。ここでは、プライベートなくつろぎの時間を楽しむためのさまざまな提案が用意されていました。

ベッドルームにワードローブ、バーコーナー、ラウンジ的なくつろぎのスペースなどがシームレスに配置され、ライティングもムーディ。プライベートな雰囲気に、どんどん引き込まれていきます。

中でも大きな面積を占めているのが、ワードローブ収納です。壁掛け型、アイランド型など複数のシステムで構成するこのワードローブは、色や素材の選択肢も多く、部屋のインテリアと統一感を持たせることが可能。

ここで画期的なのが、ベッドの正面にしつらえられたガラス張りのウォーク・インクローゼット。服やバックなどが、まるでブティックのようにディスプレイされています。

くつろぎながら眺めて楽しめる収納はお客様にも好評。

お気に入りの物に囲まれてゆったりと過ごす時間は、心の贅沢。1日の疲れを癒してくれそうです。モルテーニの“魅せるクローゼット”が人気を博している理由は、そのあたりにあるのもしれません。

パーソナルな空間にこそ価値がある

駆け足でご紹介した「モルテーニ東京」。いかがでしたか?

これまでは、せっかくイタリア家具を買うのであれば、そこにステイタスや“立派さ”を求めるのが一般的だったかもしれません。それがコロナ禍を経た今、『自分が心地よく過ごすためには、どこにこだわりたいか』というベクトルへと、大きく変化しています。

『夫婦二人で過ごす場所だからこそこだわりたい』『ごく親しい友人たちのために別荘を作りたい』というように、空間に対する要望もどんどんパーソナルになる傾向が見られます。

時計やジュエリーなどにくらべて、“空間” に価値を見出すのは難しいかもしれません。しかし、居心地の良い住まいには、気持ちを和らげ、親しい人との大切な時をはぐくむ、確かな価値があります。そこに気づくと、人生はもっと輝きを増すに違いありません。

その一つの回答が示されているのが「モルテーニ東京」です。そこに住む人が心から幸せを感じられる、これからの時代の豊かな暮らしを見つけに、南青山の店舗を訪れてみてはいかがでしょうか。

DATA

MOLTENI&C TOKYO

東京・南青山の閑静なエリアに佇む〈Molteni&C〉国内初の旗艦店。
クリエイティブディレクター、Vincent Van Duysen(ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン)自らがデザインを手掛けたショールームは、約1000坪の広さを誇り、モルテーニの最新の世界感を存分に体験することができる。
東京都港区南青山6-4-6 Almost Blue A棟/B棟

Text by Kyoko Hiraku
Edit by Ryoga Sato
Photos by Eiji Miyaji
         

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