山の手の中心にある、知る人ぞ知る邸宅街「市ヶ谷」
皇居からほど近い高台に位置する「市ヶ谷」。ここは江戸時代から一等地とされ、尾張徳川家や加賀前田家など有力大名の屋敷が建ち並んでいました。明治時代には富裕層が住むエリアになり、現在では知る人ぞ知る高級住宅地として不動の人気を誇っています。

市ヶ谷で見つけた理想の住まい
市谷砂土原町は徳川家の側近、本多佐渡守正信(ほんださどのかみまさのぶ)の別邸があった場所。その一角に高級ヴィンテージマンション「クレストコート砂土原」があります。今回は企業オーナーの奥様で、マンション管理組合の理事をされているN様に市ヶ谷の魅力を伺いました。

――住む場所として、なぜ市ヶ谷を選ばれたのですか?
N:実は20年近く住まいを探しておりまして。恵比寿や広尾、目黒などの物件を一軒家も視野に入れて度々内見していました。そんな中、知人からご紹介いただいたのが「クレストコート砂土原」です。初めて訪れた時に『ここならいい』と気持ちはすぐ決まりました。それから、希望に合った部屋が空くのを3年待って入居いたしました。
――では市ヶ谷に住みたいというよりは、この物件に住みたいというのが先だったんですね。
N:そうなんです。以前の住まいも高台にあるマンションで、不便を感じていたわけではないのですけれども。こちらに来てから全く生活が変わりましたね。
都心ならどこへでも30分内に行ける
――どんなところが魅力ですか?
N:ここは砂土原2丁目ですが、坂を降りたらすぐ地下鉄の駅なんです。不動産屋さんからも、この通りはすごく人気だと聞いています。


N:地下鉄駅の構内に入ってしまえば、雨の日も濡れずにJRの市ヶ谷駅に行くことができます。都営線も通っていますし、南北線で一駅の四谷に出れば丸ノ内線に乗り換えられます。私はふだん車で移動しておりまして、都心であればどこでも30分あれば着くんですよ。すごく便利な場所なんです。
犬の散歩は6,000㎡の緑地「市谷の杜」へ
二匹の犬を飼っていらっしゃるN様。お気に入りの散歩コースを伺ってみました。
N:神楽坂は歩いて行けますし、千鳥ヶ淵や皇居の周りまで足を伸ばすこともあります。最近は、新しくなったDNPのお庭に行くことが多いですね。あそこはすごく広くて、素晴らしいですよ。
大日本印刷株式会社(DNP)の本社がある市谷加賀町エリアは近年再開発が進み、高層ビルの周囲が緑の多い公開空地へと大きな変貌を遂げました。「市谷の杜」と名付けられた約6,000m2の緑地は、2023年に「緑の都市賞[*]」を受賞しています。
*「緑の都市賞」:都市緑化機構が緑の保全と緑化に取り組む企業や市民団体に贈られる賞。

桜の季節は毎日がお花見
また、市ヶ谷は江戸時代から知られる桜の名所。江戸城の門の一つである「市ヶ谷御門」は、周辺に桜が多かったことから “桜の御門” と呼ばれていました。現在の外濠公園にその名残を見る事ができます。

N:外堀通りから外濠公園までの広々とした空間は市ヶ谷ならではの贅沢さだと思います。桜の季節は毎日がお花見ですしね。本当にこの場所が気に入っています。


交通の便が良い都心にありながら、豊かな自然にも恵まれている。それが市ヶ谷の大きな魅力であることは間違いありません。
有名店、隠れた名店に満たされる “食の愉しみ”
ご主人やご友人とお住まいの近くで外食する機会が多いN様。おすすめのお店を教えていただきました。
N:お蕎麦屋さんはおいしいところが多いですよ。近所にある「芳とも庵(よしともあん)」や「玄樹(くろき)」へよく行きます。


N:四川料理の「梅香(メイシャン)」は、姉妹二人で経営している素敵なお店。おいしくて品格のある隠れた名店です。

N:九段の「中国飯店 市ヶ谷店」も好きなお店です。いつでも車でさっと行けるし、気取らなくていいんですよ。主人ともよく参りますし、お友だちともよく行きます。雰囲気もお味もとても良いので、皆さん気に入ってくださいます。

砂土原町から神楽坂方面へ向かう牛込中央通りを実際に歩いてみたところ、個人経営のユニークな飲食店がたくさんありました。お店の選択肢が豊富でありながら、喧騒がないのでゆったりと街歩きが楽しめるのも魅力です。
東京日仏学院でフランス文化に触れる
近隣に大使館の多い市ヶ谷は国際色豊かな街でもあります。中でもランドマーク的な存在が、1952年に開校した「東京日仏学院」です。

ル・コルビュジエ門下の建築家、坂倉準三氏によるモダンでユニークな建築は歴史的な文化財とも呼べるもの。2021年にオープンした新校舎は、東京とパリに事務所をもつ建築家で「2025年大阪・関西万博」の会場デザインも手掛けた藤本壮介氏が設計しています。
N:日仏学院の敷地内にあるレストランをお食事や結婚式に利用される方も多いと思います。飯田橋にある「SOMBREUIL(ソンブルイユ)」もおしゃれなフレンチレストランです。結婚式場でありながら、ミシュラン三つ星を獲得しています。

東京日仏学院の設立がきっかけで、学院に近い神楽坂エリアは通称 “リトルパリ” と呼ばれているそう。家庭的なビストロやガレット専門店など、フレンチを手軽に楽しめるお店が多いのも嬉しい点です。
日常の買い物には困らない
市谷砂土原町は閑静な住宅地。N様は日常のお買い物をどうされているのでしょうか。
N:都営大江戸線の牛込神楽坂駅そばに「キッチンコート神楽坂店」がありますし、ちょっとしたものが買える小さなお店はいろいろあるんです。

――「コモレ四谷」にはライフの大型店舗が入っているんですよね。
N:そう、あそこはとても便利ですよ。四ツ谷駅のアトレにある成城石井もよく利用しています。
N:神楽坂まで行くと、ちょっと特別なものが買えるので、またそれも楽しいんです。輸入食品ならスーパー「KIMURAYA」、イタリア食材屋さん、チーズ専門店などがあります。「神楽坂野菜計画」というお店では、産地直送の珍しいお野菜、ドレッシング、季節の珍味などを購入します。明治時代から続くお豆腐屋さんが丁寧に作ったお豆腐は1丁500円しますけれど、とってもおいしいんです。

市ヶ谷での暮らしは外からは想像できないくらい楽しそう。N様のお話を伺っているうちに何だかワクワクしてきました。
“気取らず、素でいられること”が豊かさ
最後に、N様にとって豊かな暮らしとは、どういったものなのかをお伺いしました。
N:気取らなくていいこと。普通の暮らしができて、どんなスタイルでも受け入れてもらえる街であることが私は豊かさだと思っています。“素でいられる” ということですね。

N:このマンションにお住まいの方の中には、ロングドレスを着て夜の会食にお出かけになる方もいますし、短パンとTシャツで近所に散歩に出かけられる方もいます。そのようにこの街はいろいろな方が混在している。そのラフさも好きです。

いかがでしたか。
実際にこの地にお住まいのN様のお話から、市ヶ谷の素敵な暮らしを垣間見ることができました。市ヶ谷は都内屈指の高級住宅地であることは確かですが、人とのつながりがあり、あたたかみのある街のように感じました。
N様は「クレストコート砂土原」の管理組合の理事として、価値あるヴィンテージマンションを良い状態で維持するための活動を熱心にされています。その貴重なお話は機会をあらためてお伝えさせていただきますので、どうぞお楽しみに。