伝統と革新。インテリアの未来をデザインし続ける「Cassina」

2026.03.06

アーカイブから現代へ、名作が新たな輝きを纏う

——近年、人気が高まっているプロダクトも教えていただけますか。

南野:Cassinaではシャルロット・ペリアン以来の女性デザイナーで、2015年からアートディレクターとして就任したパトリシア・ウルキオラのプロダクトは非常に人気があります。また、アートディレクターとして巨匠たちの名作を彼女らしい大胆な色・素材使いで見せることで、現代の暮らしに馴染むアイテムへと昇華させ、幅広いコーディネートの提案を可能にしています。

中でも人気があるのは「SENGU(セングウ)」シリーズのソファです。角度のついたアングルシートを組み合わせることで、間取りや使い方に合わせて自由にレイアウトを変更できる点が人気を集めています。

「SENGU」シリーズのソファを取り入れた展示。式年遷宮からインスピレーションを得た木組みのベースや自然な色合いが特徴的。

南野:「SENGU」シリーズのダイニングテーブルも人気ですね。ポーセリン(磁器)の天板は、焼き物ならではの一点一点異なる表情や手仕事感を味わえます。また楕円形のフォルムは、丸や四角では生まれない自由な配置や空間づくりを可能にしてくれます。暮らしに個性と楽しさをもたらし、『自分らしい個性を表現したい』という現代のお客様のニーズにマッチしているのではないでしょうか。

横木でつながれた無垢材の脚部と、存在感のある大理石の柱の組み合せが特徴の「SENGU」ダイニングテーブル。異素材の対話が楽しめる現代的なデザイン。(Photo: Valentina Sommariva)

環境負荷に配慮した素材と構造

——サステナブルなプロダクトの開発にも取り組まれていますね。

南野:Cassinaではデザインの革新性だけではなく、“新たなプロダクトを生み出すこと自体が環境や社会にとってどのような意味を持つのか” という視点を大切にしてきました。2020年にはミラノ工科大学と協働で「Cassina LAB(カッシーナ・ラボ)」を立ち上げ、環境負荷の低減を目指したマテリアルの研究開発に継続的に取り組み、サステナブルなものづくりを推進しています。

カッシーナ・イクスシーの自社工場(群馬県伊勢崎市)には約750㎡の太陽光パネルを設置し、工場全体のエネルギー使用量の約66%をクリーンエネルギーに置き換えて生産している

南野:ここ数年の新作製品では、回収したペットボトルなどを再利用してつくられた再生PET繊維の綿を中材に使用しており、「SENGU」ソファにも採用されています。製品をつくる段階から、製品寿命を終えたあとに素材ごとに分解できる構造を考え、マテリアルリサイクルへとつなげられるものづくりを行っているのです。

歴史と革新が交差する、Cassinaの未来像

——来る2027年に創業100周年を迎えるCassinaですが、今後どのような道を歩んでいくと思われますか。

南野:常に時代の先を見据えてモノづくりをしているブランドですので、毎年新しい何かを見せてくれるという期待感があります。テクノロジーを取り入れれば新しいかというとそうではなく、そこに手仕事感が加わらないと、家というプライベートな空間で住まい手に愛されるプロダクトにはならないと思うんです。そのバランスを保ちながら、皆さんが見たことのない展開を見せてくれるのではないかと思っています。

1973年に製作された「CORNARO(コルナーロ)」ソファ。復刻にあたりプロポーションを一新し、サステナビリティに配慮した素材・製法で生まれ変わった。

創業時から脈々と受け継がれるブランド哲学を礎に、未来へと進化を重ねる「Cassina」。その家具を日常に迎え入れることは、時代を超えて磨き抜かれてきた価値とともに、豊かな時間を生きることにほかなりません。

次回の後編ではCassinaをはじめ、選び抜かれた多彩なブランドの世界観を一堂に体感できる「カッシーナ・イクスシー青山本店」の魅力をご紹介します。どうぞご期待ください。

Text by Yoko Sakurada
Edit by Sotaro Oka
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