二拠点生活のIT系CEOが週4日を過ごす街「西麻布」

2024.04.12

西麻布は会食などで夜に訪れることが多い街。そんな西麻布にあえて住む事を選んだ方には、どんな理由があったのでしょうか。西麻布と千葉県木更津市の二拠点生活を実践されている株式会社マイクロアド 代表取締役 社長執行役員の渡辺健太郎さんに伺いました。

高級住宅地として知られる霞町と笄町

西麻布と聞いて、外苑西通りと六本木通りが交差する西麻布交差点を思い浮かべる方も多いはず。ここは、旧地名から別名「霞町(かすみちょう)交差点」と呼ばれています。

このあたり一帯は江戸時代までは街外れの閑散とした場所でした。それが、住宅地として形成されたのは明治から大正時代にかけてのことです。中でも交差点から広尾・渋谷方向に高台になった笄町(こうがいちょう、現・西麻布四丁目)は、山の手の高級住宅街として名が知れるようになっていきます。

1967年まで笄町だった西麻布四丁目の高級住宅地。

一方、霞町と呼ばれたのは交差点の六本木側のエリア(現・西麻布一丁目から三丁目)です。こちらも外苑西通りからテレビ朝日通りに向かって上り坂になった一帯があり。現在もカトリック麻布教会、みこころ幼稚園などの他、邸宅と呼べる個人宅が多い場所です。

カトリック麻布教会。1889年、前身となる「麻布聖心(みこころ)聖堂」がこの地に建つ。1945年の東京大空襲で全焼してしまった後、1952年に現在の聖堂が献堂された。

広尾、六本木は徒歩圏内

西麻布四丁目(旧・笄町)に隣接したエリアに広尾ガーデンヒルズが建設されたのは1980年代後半。1985年に西麻布交差点にオープンしたアイスクリーム店「ホブソンズ」は、行列のできる人気店として有名になりました。

建物の前の交差点

中程度の精度で自動的に生成された説明

西麻布の最寄り駅、地下鉄日比谷線六本木駅は霞町交差点から約10分の距離にあります。公共の交通機関としては広尾、青山、新宿、新橋などへ向かう5系統の都バスが利用可能。中でも渋谷駅行きは山手線並みの本数があるので、とても便利です。

渋谷のオフィスに近く、会食にも便利

マイクロアドCEO渡辺謙太郎さんのお住まいは、旧・笄町にあたる場所。ヴィンテージマンションで暮らされています。

渡辺さんは、サイバーエージェントの取締役を務められた方。今年(2024年)20周年を迎える“Amebaブログ” の生みの親でもある。

最初に、西麻布を選ばれた理由についてお聞きしました。

渡辺健太郎さん(以下、渡辺):僕はかなり以前から二拠点居住なんです。週末は木更津の家、平日は東京で過ごしています。西麻布を選んだ理由のひとつは、渋谷のオフィスに近いという点があります。もうひとつは会食です。と言うのは、IT関係の会食は銀座方面より西麻布近辺が多いので。会食の後に歩いて帰れる、というのが大きな理由でした。

皇族方の帽子も手がける高級帽子店「Boutique Salon COCO」

――西麻布と木更津はどれくらいの頻度で行き来されているんでしょうか。

渡辺:月曜日はあまり対面の仕事を入れないようにしているので、木更津でリモートワークをした後、夕方に西麻布に移動します。火曜から金曜までは東京で仕事をして、金曜日の夜に木更津に移動するという感じです。土曜日は渋滞するんですよね。だから、金曜日の夜は西麻布で飲まないです。(笑)

――木更津に住まわれるようになったきっかけはどのような事でしたか。

渡辺:以前、ドローンのビジネスをしていた時にお会いした、木更津にお住まいの方がいらっしゃったんですね。その方を訪ねて、遊びに行くようになったのがきっかけです。その後、たまたまいい土地があったので、特に使うプランはなかったんですけれど、買ってみたらいつの間にか木更津に住んでいた、という感じです。

木更津ではヨットを楽しまれている渡辺さん。ご自身で操舵して外洋に出るのはちょっとした冒険。

プライベートでも西麻布の“食”は楽しい

外食の機会が多い渡辺さんに、西麻布のおすすめのお店をお伺いしてみました。

渡辺:ランチは、土鍋ごはん「米三」、香港料理「申申」によく行きます。夜、サクッと居酒屋で食べたい時は「角屋」。韓国料理の「胡同」も好きです。それ以外ではバーなんですが、「週刊プレイボーイ」の名編集長だった島地勝彦さんがやってらっしゃる「サロン ド シマジ 」と言うお店もあります。

「サロン ド シマジ 」はアートサイロ(写真中央)のB1にある。
「サロン ド シマジ 」の店内。天井に空のフレスコ画が描かれている。

渡辺:杉山明日香さんと言う日本酒とワインの専門家の方がオーナーのワインバーがあるんですが、その場で飲む以外にワインも買えるのがいいですね。

「カーブドアスカ」は、ご自宅に呼ばれたような雰囲気でワインを楽しめるユニークな店。

木更津の家の冷蔵庫には大量のジビエが

――ところで、日常の買い物はどうしていらっしゃるんですか?

渡辺:毎週千葉に帰っているから、野菜などは向こうで買う方が多いと思います。それに、僕はヨットの他に狩猟をしているんですよ。千葉で鴨を撃つのと、北海道でエゾシカを撃っています。始めて2シーズンなので、まだビギナーですけれど。

――狩猟が趣味という方には、始めてお目にかかりました。仕留めた獲物は食べるんですか?

渡辺:はい、もちろんです。なので、木更津の家の冷凍庫には大量の肉が入っています。 

――それをご自分でお料理なさるんですか?

渡辺:はい、料理はかなりしますね。

――素晴らしいですね。ジビエがお料理できるなんて! では、木更津のお宅では、ご友人に振る舞われたりするんですか?

渡辺:そうですね。うちの社員たちをバーベキューに呼んだりすることもあります。

ワクワクした気持ちが味わえる狩猟

――ハンティングはどんなところが面白いですか?

渡辺:未知の体験だからというのが1番です。たとえば、初めてヨーロッパやニューヨークへ行った時は、すごくワクワクドキドキしたと思うんです。けれど、2回目以降は(高揚感が)どんどん薄れていくじゃないですか。歳を重ねるとそういう事が増えてきますし。ヨットやハンティングは、1回1回が未知の体験なので、ワクワクした気持ちがいつも味わえます。

――ITのお仕事とは真逆の世界ですよね。それで何かバランスが取れたり、面白い着地点が見つかったりするのでしょうか。

渡辺:そのためだけにやっている訳ではないですけれども、やはり振れ幅が大きい方が意外性のある発想が生まれやすいように思います。

アートも新しい体験になる

インタビューで伺った渋谷のオフィスの一角にはバンクシー作品のフィギアが飾られていました。渡辺さんは、最近、アートにも興味が湧いてきているのだそう。

渡辺:このあたりには美術館もあるので、ちょこっと行ったりはします。それと、海外の大きいアートイベントはギャラリーが多数参加していて、いろいろ見られるから楽しいですね。今月は「アートバーゼル香港」へ行きます(インタビューは3月上旬)。初めて行くんですけれどね。まぁ、それも新しい体験ですよね。

未知の体験を支える“要”のような場所

最後に、渡辺さんにとって豊かさとはどういうものなのかをお伺いしました。

渡辺:自分が欲しいものを自分でわかっていて、それを無理のない形で手に入れる事が継続的にできるような暮らしをしている人が豊かなんじゃないかなと思います。それを他の人が決めた価値観ではなく、自分の目で選んでいる事が大切なのかなと思います。

――渡辺さんにとって西麻布はどんな街なのでしょうか。

渡辺:豊かな暮らしを実現するために、それぞれの要素には最適な場所があると思っているんですよ。僕の場合、週末は千葉にいて、そこでおいしい野菜が買えるし、冬は北海道でエゾシカを撃って、肉を手に入れる。その一方で、西麻布は仕事や会食の上では理想的な場所なんです。

いくつになってもワクワクできる未知の体験をもとめて、振れ幅の大きいライフスタイルを送っている渡辺さん。西麻布は豊かな生活を送る上で“扇の要”のような役割を果たしているのかもしれません。

DATA

渡辺健太郎(わたなべけんたろう)

株式会社マイクロアド代表取締役 社長執行役員。1974年生まれ。1999年株式会社サイバーエージェントに入社。大阪支社を立ち上げるとともに支社長に就任、その後事業責任者として「Amebaブログ(アメブロ)」を立ち上げる。同社取締役として活躍の後、2007年に株式会社マイクロアドを設立。2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場。

Text by Kyoko Hiraku
Edit by Ryoga Sato
         

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