「Spazio Edra Tokyo Aoyama」でアートのような家具と出逢う

2025.11.07
世界160カ国以上で展開されているイタリアの家具ブランド「エドラ」。前編では、“空間を満たす芸術品” と言われるブランドの哲学について、エドラ社副社長のMonica Mazzei(モニカ・マッツェイ)さんにお伺いしました。後編では2025年10月、南青山にグランドオープンした日本初の路面旗艦店「Spazio Edra Tokyo Aoyama by LIVING HOUSE.」をレポートします。

edraのロゴ

「Spazio Edra Tokyo Aoyama by LIVING HOUSE.(通称スパツィオ エドラ 南青山)」は、“スパツィオ”という名称を冠した世界でも限られたショールームのひとつ。イタリア本社により空間全てがデザイン監修され、エドラの世界観を余すところなく伝える場所となっています。

では「スパツィオ エドラ 南青山」はどんなスペースなのでしょうか。詳しくご紹介していきます。

ブラックミラーの空間が意味するもの

エントランスを抜けると、道路に面した窓から自然光が差し込む164平米の空間が広がります。

沢山の椅子が並んでいる

特徴的なのは、ブラックミラー張りの壁面を背景に家具が配置されていること。これは “国や時代、時間を定義しない。現在でも過去でも未来でもないタイムレスな価値観” を表現したもの。エドラの考え方を象徴するこの空間デザインは、2020年から参加しているミラノサローネでも毎年再現されています。

「Favela(ファベラ)」

ミラー台の上に椅子が置かれているのは、家具作りに対する自信の証し。一般に、家具は椅子の背面や座面など目に付きにくい部分でコストカットをする傾向がありますが、エドラの製品はどこから眺めても美しく、細部まで繊細に仕上げられていることがわかります。

流氷の上にクマが寝そべる独創的なソファ

ウィンドウディスプレイの役割も兼ねて置かれた大きな白いソファ「Pack(パック)」。流氷の上にクマが寝そべる独創的なデザインは、エドラの代表作のひとつです。

シロクマのソファ
「Pack(パック)」

「Pack」はエドラと長い協業関係にある “創作者” のひとり、フランチェスコ・ビンファレがコロナ禍に生み出した傑作。世界中の人がスマートフォンを手に家の中に閉じこもっていた頃、氷の上で寝そべっているクマを見て、孤独を楽しんでいるように感じたのだそう。それをソファにしてみようと発想し、クリエーションが始まりました。

シート部分は形状の異なる2パーツで構成され、氷を表現したオリジナルのファブリックで包まれています。中材は独自に開発したポリウレタン素材Gellyfoam®(ジェリー・フォーム)に羽毛を組み合わせ、座り心地を究極まで追求したもの。

Gellyfoam®は体を跳ね返さない特殊なポリウレタン素材。フレームがないため子どもがジャンプしたり、角にぶつかっても痛くない。

機能的でありながらも、住宅の中に癒しを取り入れたい。自然との繋がりを感じたい。「Pack」には、そうした想いが込められています。

多様化した日本の住空間に対応できる柔軟性

アート性と機能性の両方を備えているエドラの家具。その魅力を雄弁に物語るのが “岩の上” から着想を得たソファ「On the Rocks(オン・ザ・ロックス)」です。

エントランスを入ってすぐの場所に置かれている「On the Rocks」は、日本で最も人気のあるソファ。こちらもフランチェスコ・ビンファレがデザインを手がけたもの。

「On the Rocks」は、異なる形の4つのシートを、何通りにも組み合わせられるソファです。背もたれはシートから完全に独立し、自由に配置できる可動式。置くポジションにより、浅く、深く、くつろいだ姿勢など、さまざまな座り方ができます。

しかも360度全てどの面が見えても美しいように仕上げられているため、向きにとらわれることなく設置、ジョイントが可能。目的に合わせてデザインできる、かつてないほどフレキシブルなソファです。

ソファの横にはパズルを使って配置を確認できるコーナーがあり、購入前にご家族で納得いくまで意見交換されるケースもあるそう。

『今まで日本の間取りは長方形や真四角がほとんどでした。しかし、最近は海外のデザイナーが集合住宅の建築設計を手掛けることが増え、曲線形状が多くなっていたり、意外なところに柱があったりと、間取りが多様化しています。そのような空間こそ、エドラが得意とするところです。』ブランドマネージャーの針生 智子(はりうともこ)さんは、そう語ります。

しかもエドラのソファはワンブロックだけでも購入できるモデルもあり、広さに応じた選択肢が多いのも大きな魅力です。

宝物のような “私だけの椅子” を

“空間を満たす芸術品” と言われるエドラの家具。実際に、ニューヨークのMoMAやパリのポンピドゥー・センターなど、著名な美術館で永久コレクションとして収蔵されています。

たとえば、桔梗の花から着想を得たチェア「Getsuen(ゲツエン)」。この椅子を手がけた梅田正徳は1960年代からイタリアで活動し、1981年からはエットレ・ソットサスが中心となりミラノで結成されたデザイン集団「メンフィス」に磯崎新、倉俣史朗と共に日本人メンバーとして参加した貴重な経験を持つクリエーター。

「Getsuen」のソファ
海外では「Getsuen」を美術品とコーディネートした実例も多数。

花に包み込まれるような詩的な体験と座り心地のやさしさは、他にはない特別なもの。『私だけのチェアにやっと巡り合えた』と、シニア世代の女性が購入されることも多いそう。

アートとデザインを行き来する探索者、ヤコポ・フォッジーニによるポリカーボネイトのチェアも人気の高いミュージアムピースです。

Ginaの椅子

スパツィオ エドラ 南青山では、ダイニングチェア「Gina(ジーナ)を一脚だけ、宝物のように買って行かれる方も少なくありません。

写真左奥が「Gina」。この椅子は2020年の東京五輪に合わせて設置されたイタリア選手団のためのホスピタリティハウス「カーサ・イタリア」にも採用された。

『エドラの家具には芸術的な部分と、詩的で情緒的なコンセプトがあります。家具を取り入れるときにその感性を感じていただき、日本の住空間のしつらえに広がりがでると嬉しいですね』と、針生さんは語ります。

2020年から毎年1号ずつ発⾏されている「EDRA MAGAZINE」。

100年先も受け継ぎたい家具

エドラの家具を購入した際、一緒に納品されるのが「ワランティボックス」。製品番号を記載した保証書や説明書きをはじめ、手袋、革製品にはプロテクトクリームなど、メンテナスのためのキットが入っています。もちろん、カバーのクリーニングや張り替えなどに関しては、状況に応じて万全のメンテナンス体制が整っています。

30年前の「Getsuen」をご家族から受け継いだけれど、後ろのキャスターだけ修理をしたいというお客様がいらっしゃったそう。『エドラとしては100年経っても使っていただきたいという想いがありますので、そういうお話は本当にありがたいです』と、針生さん。

1980代にデザインされた「Getsuen」は、ポストモダンを象徴するデザイン。

 “家具を使うことで日常がエモーショナルな体験になる” 。それが、エドラの家具が暮らしにもたらす豊かさです。芸術品のような家具に心が満たされ、家族の絆も深まることでしょう。大切に使いながら、タイムレスな価値を受け継いでいきたいものです。

前後編にわたってお伝えしたエドラの世界。いかがでしたか。
日本ではまだ “知る人ぞ知るブランド” ですが、20~80代まで幅広い年代の方が、性別を問わずエドラに魅せられているようでした。

ショールームでは、一つひとつの製品の背景にあるストーリーを詳しく知ることができます。美術館でアートに触れるような気持ちで、ぜひ一度訪れてみてください。既成概念を覆す、まったく新しい体験が待っています!

Text by Kyoko Hiraku
Photo by Eiji Miyaji
Edit by Saori Maekawa
DATA

Spazio Edra Tokyo Aoyama by LIVING HOUSE.

日本初の路面旗艦店が2025年10月、青山にオープン。世界で愛されるイタリアのハイエンド家具の美と快適性、クラフトマンシップを体感できる唯一無二の空間となっている。

〒107-0062
東京都港区南青山3丁目4-8 KDX レジデンス南青山 1 階
TEL:03-6447-1304
営業時間 11:00-18:00 
水曜定休日(祝日は除く)

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