モミジの木に見守られ、家族が憩う都心の家

2023.08.25

月日が経ってもなお、その価値を高く保ち続けるヴィンテージマンション。

シリーズ “Private View” では、人々が大切に住み継ぐことで育まれ、さらに魅力を増していくヴィンテージマンションにお住まいの方にインタビュー。古いものに新しい価値を見出す暮らしの豊かさについて考えます。

今回は、都心にありながら緑豊かな四谷エリアへ。BEARSがリノベーションを手がけた物件に暮らし始めて半年ほどというご家族を訪ねました。

新居との出会い、そして都心のヴィンテージマンションで見つけた理想の暮らしとは?

モミジの木に導かれた出会い

──こちらにお邪魔して、都心の駅近マンションとは思えないほど、緑豊かで静かなリビングに驚きました。まずは新居との出会いについてお話を伺えますか?

ご主人:ここはとても静かですよね。暮らし始めた当初は私たちも驚いたほどです。

私たちは日韓出身の夫婦と娘の3人家族なのですが、10年ほど前まで、東京とソウルでの二拠点生活を送り、その後は妻の実家に近い文京区のマンションに暮らしていました。娘が中学に上がるのを機に、より広い住まいへ住み替えるため、物件探しをスタートしたのが昨年のことです。

奥様:最初は千代田区や文京区を中心とした都心6区の新築マンションを探していたのですが、なかなか気に入るものに出会えなくて。中古マンションにターゲットを広げて出会えた一軒目がこの物件でした。

内覧の日はスコールのような大雨。入ってすぐ、窓からモミジの木が見えました。雨の雫を受けるその姿が美しく、ハッと心を掴まれたのを覚えています。もともと私の実家にもモミジの木があり、不思議な縁を感じましたね。

リビングの窓から見えるモミジの木。物件引き渡しの頃には秋を迎え、鮮やかな紅葉が美しかったそう

理想の家を叶える条件

──住まい探しにおいて重視していたのはどんな点でしたか?

ご主人:私たちには、譲れない条件がいくつかありました。

1つ目は、平置きの駐車場があること。通勤で毎日車に乗るため、大きめの車をストレスなく置けることが重要でした。言うなれば、駐車場も一緒に買うような感覚ですね。近年の新築マンションは機械式の駐車場ばかりですが、中古マンションの中でも「ヴィンテージマンション」と呼ばれるような物件は、都心でも平置きの駐車場を備えているところが少なくありません。このマンションは駐車場が広々として使いやすく、戸建てのガレージのようにキャビネットを置けるところも気に入りました。

──ヴィンテージマンションは駐車場の面でも魅力があるのですね。

ご主人:2つ目は、空間が細切れにならない間取りです。私たちは3人家族なので、たくさんの部屋は要りません。この住まいは100㎡弱の広さに対して、ゆったりとした2LDK。家族が個室にこもることなく、日々の時間を一緒に過ごせるのが理想でした。

ご主人:3つ目は、内装や建物のクオリティです。私は建築関係の仕事に携わった経験があるのですが、上質なガラスの引き戸や美しいタイル、広い面積のウッドウォールなど、この部屋に使われている素材の良さには唸りました。内装だけでなく、マンション自体も低層のしっかりとした造りで、安心感があることも大きかったですね。このマンションは1980年代に高級住宅として建設されたそうで、今ではなかなか使えないような良い素材が使われているんですよ。

──建物全体にヴィンテージマンションならではの重厚感や落ち着きがありますね。マンションエントランスやロビーといった共用部が美しく保たれていて、丁寧に手入れされた植栽の様子も印象的です。

奥様:ええ、全体に管理が行き届いていて、いつも気持ち良く過ごせています。


ご主人:4つ目の条件は、立地の魅力です。四谷は妻の実家から少し離れるため、もともと考えていたエリアではなかったのですが、都心の一等地ということで、妻の両親も賛成してくれました。また、日当たりや風通し、坂下ではないことなど、マンションが建つ土地自体も重要です。ここは駅からの近さも魅力でした。

空が広い四谷駅周辺の風景

──立地は資産価値の面でも大きいですね。ちなみに、賃貸物件も検討されていましたか?

奥様:いえ、賃貸は選択肢にありませんでした。世代的なものも大きいかもしれませんが、私たちの感覚では、家は暮らす場所であるとともに資産でもあります。自分たちの住まいであって、投資としての購入ではなくても、資産価値が高いことは安心感につながります。

こうした複数の条件を満たす物件は、いざ探してみると、決して多くありませんでした。何かが良くても何かが足りないというケースがほとんどで、実際に内覧したのは数えるほどです。

まるでオーダーメイドのような家

──伺ったご希望を叶える物件となると、確かにかなり数が絞られそうですね。今回BEARSの企画のもと、オープンキッチンやダイニングの飾り棚を設えるなど、間取りや内装をコーディネートしました。実際にお住まいになってのご感想はいかがでしょう?

ご主人:この家に暮らし始めて、大満足しています。私たち家族に合っていて、まるでオーダーメイドのようです。内覧時に思い描いた通り、妻がオープンキッチンに立ち、私がリビングでくつろぐ傍ら、娘は勉強したり、ピアノを奏でたり。お互いの存在を近くに感じながら、一緒に過ごせる時間が増えたことを喜んでいます。

大きな窓からは、四季折々の木々を眺められて、心安らぎます。窓の前の空間が広く取られ、周囲の視線も気にならないレイアウトになっており、よく考えられているなと思います。

──都心でこんな環境が叶うのは、ヴィンテージマンションならではかもしれませんね。

ご主人:ええ、本当に。駅が近いのにすごく静かですし、周辺に緑が多く、環境の良さは想像以上でした。近くの道が混まないので、日々の車移動にストレスがないのも嬉しいですね。

四谷エリアの魅力を知ったのは、住み始めてからです。都内各地への交通の便に加え、治安や土地柄が良く、散歩コースにも恵まれています。車での通勤途中、落ち着きのある緑豊かな眺めが心地良く、ドライブの時間に心癒されています。

──リノベーション物件をお選びになっていかがでしょう?

ご主人:とても満足しています。建物自体の構造がしっかりしているのであれば、リノベーション物件はおすすめですね。新築マンションは、さまざまな住まい手を想定しているためか、広さに対して部屋数を増やすなど、画一的な設計の物件が多いと感じました。その点、リノベーション物件の方がそれぞれのライフスタイルにピッタリの住まいに出会えるのではないでしょうか。

リノベーションについては、自分自身で手を入れる選択肢もありますが、完成までに多くの時間や労力を要しますし、トータルで考えれば、費用もかえって多くかかる可能性も。何より、ひとつひとつを選んで決めていくのは大変ですから、家族で喧嘩しかねません(笑)。

その点、専門家が手がけたリノベーション物件は、精神的に楽です。そうした物件の中で自分たちにフィットするものを見つけられたら、一番良いと思います。私たちはラッキーでした。

──このお家でのお気に入りの過ごし方はありますか?

奥様:私はこのキッチンに立つ時間が好きですね。壁向きのキッチンと違い、外の景色や家族の顔を見ながら、気持ちよく料理ができます。また、私は家族や友人と食卓を囲んで語らう食事の時間をとても大事にしていて、その意味でキッチンとダイニングは大切な場所です。

──こちらのダイニングは奥の飾り棚も美しいですね。

奥様:ありがとうございます。ここには、これまで集めてきた食器を飾っています。旧居ではしまい込んでいた器も、こんな風にディスプレイできる場所があると楽しいです。韓国の器を飾るコーナーもあり、現地を訪ねるたびに少しずつコレクションを増やしています。

──お嬢様はいかがですか?

お嬢様:私はリビングに置いたデスクで、家族の顔を見ながら勉強できるのが気に入っています。でも一番好きなのは、夜のお茶時間かな。調光ライトを暗くしてキャンドルを灯し、母とふたりでお茶とお菓子を楽しんでいます。父が寝室に引き上げた後の、女子タイムですね(笑)。

──それは、とても素敵な過ごし方ですね。お父様はいかがでしょう?

ご主人:私はリビングでくつろぐ時間が一番ですが、ベッドルームで迎える朝の空気も好きですね。目覚めると、小鳥のさえずりが聞こえ、朝日を浴びる木々の緑が目に飛び込んできます。

──最後に、ご主人にとって “理想の家” とは?

ご主人:私にとって、家とは外から帰ってきた家族3人がゆっくりできる場所です。一日に2〜3時間でも心安らげることが大事。ストレスがあったら、家の意味がありません。その意味で、この住まいは私たちの理想の家、そのものですね。

木々の緑と静けさに包まれ、お互いの気配を感じながら、家族がともに心安らげる家。そんな理想の暮らしを、都心のヴィンテージマンションで叶えた3人。新たな住まいで穏やかな時間を重ねていく家族の風景を、四季折々のモミジの木が見守ってくれる──そんな未来の様子が心に浮かぶようでした。

Text by Jun Harada
Photos by Eiji Miyaji
         

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