自然と調和する軽井沢のモダンラグジュアリーな別荘

2023.12.22

由緒ある別荘地として政財界の要人や文化人に愛されてきた軽井沢。リモートワークが一般化した今、都心との二拠点生活の場としても人気が高まっています。今年、夢を実現したSさんの中軽井沢の別荘を訪ね、お住まいへのこだわりと理想の暮らしについて伺いました。

軽井沢は緑豊かで、文化的な暮らしができる場所

都内で会社を経営するSさんはBEARSのお客様のひとり。土地の購入から1年半を経て、今年(2023年)の夏に中軽井沢の別荘が完成したばかりです。現在のお住まいは横浜にあり、軽井沢へは週末に訪れる生活を送っていらっしゃいます。

──二拠点生活の地として軽井沢を選んだ理由は何だったのでしょうか。

Sさん(以下、S):もともとは海が好きで、ヨットを所有していましたし、レースにも出ていました。でも歳を重ねるにつれ、『この先、落ち着いてリラックスするには森の方がいいのかな…』と思うようになってきたんです。軽井沢を選んだのは、東京から新幹線で約1時間と交通の便が良いこと。緑が豊かでかつ、文化的な暮らしができる場所だというのが、大きな理由です。

──軽井沢へは以前からよく来られていたんですか?

S:いえ、来るようになったのは比較的最近です。ご縁のある方が、軽井沢に詳しく、その方と一緒に何度か軽井沢を訪れるうちに『いいなぁ』という気持ちが強くなっていったように思います。

良い物件が出ると2日で売れてしまう

Sさんが中軽井沢に350坪の土地を購入したのは2021年の10月。その経緯もドラマティックです。

軽井沢は『良い物件が出ると2日で売れてしまう』と言われている場所。地元の不動産会社「株式会社軽井沢ランドスケープリサーチ」(KLR)から連絡を受けたSさん。住まいのある横浜から『とるものもとりあえず』軽井沢に向かったそうです。

S:なぜここが良いかと思ったかというと、ハルニレテラスまで歩いて行ける距離にありながら、とても静かだったこと。中軽井沢は軽井沢エリアの中でも比較的湿気が少ない事も決め手になりました。

散歩がてらハルニレテラスの「トンボの湯」に入りに行く事もできる好立地

施工はKLRの関連会社で軽井沢ではトップクラスの建築事務所「新建築」に依頼。

S:新建築さんの作品集の中から建築家の石上英一郎氏にお願いすることを決め、すぐに設計に入りました。外構デザイナーはKLRさんのご紹介で「スタジオキョウリュウ」の代表でスコットランド出身のアンディ・カニンハムさんを起用させていただきました。僕は迷わない性格なので、すべて即決です。

「浅間石」と「楡(ニレ)の木」がコンセプト

家具の選定はSさんご本人、それをもとにコーディネートをBEARSのグループ会社「リブラスタイル」の手塚由美さんが担当。

──こだわったことは何ですか?

S:別荘作りのコンセプトとして、軽井沢に縁のある「浅間石」と「楡(ニレ)の木」の2つを基本にしようと最初に決めました。すべて、そこから発想を広げていくという考え方です。

外観、内装ともに使った色は浅間石のグレー、楡の木肌の色、明るいベージュの3色のみ。

S:この3色を基盤に全てを作っていただきました。それ以上入れるとバランスが崩れると思ったからです。


大きな面積を取る壁は極力シンプルにして、家具やファブリックでニュアンスをつけていく。抑制の効いた色彩のハーモニーは奥が深く上品で、軽井沢の自然に抱かれているような心地よさを感じさせます。

いい刺身のような家を建てたかった

Sさんのこだわりは色彩だけではありません。家具、電化製品、水回りのカウンタートップやドアノブに至るまで、この家にあるものすべて、世界最高水準の逸品ばかり。

水栓は「ハンスグローエ」。左奥の包丁は「シェルブラス」のもの
キッチン機器はオールドイツ製。冷蔵庫は「リープヘル」。左上がワインセラーになっている。オーブンは「ガゲナウ」
ダイニングチェアやリビングのソファは「B&B Italia」。テレビとスピーカーは「バング&オルフセン」

S:食べ物にたとえると、いい魚は刺身で食べるのが一番美味しいじゃないですか。僕は、最高の素材を使った、いい刺身のような家を建てたかったんです。だから全てにおいて華美ではないと思います。

マスターベッドルームの一角に設けられた書斎コーナー
大きく取った浴室の窓から庭を望んで。お風呂に入りながら四季折々の変化が楽しめる乙な趣向
中二階には和室があり、コレクションしている和の陶器などが飾られている

S:僕の願いが叶ったのは、新建築さんと石上先生をはじめ、ご尽力くださった皆さんのお力ですね。そういう方達と知り合えたことが幸せだと思います。

軽井沢の住まいを快適にする三種の神器とは?

軽井沢は年間を通して湿気が多く、冬になるとマイナス15度にまで下がる気候的には厳しいエリア。“軽井沢の別荘” は優雅に聞こえるけれど、閉めっぱなしの家の中には湿気がこもったり、冬場にはしばしば水道管が破裂する過酷な面があります。

Sさんが目指したのは “真冬でも短パンTシャツでアイスクリームが食べられる家” 。

S:そのために構造と機能は十分に考え、断熱材もかなり入れています。家って本当はそこがすごく重要なんですよ。むしろ、そちらのこだわりの方が強かったですね。

──具体的には、どのような事をされたのでしょうか?

S:湿度対策としては除湿機を4機設置して、24時間稼働しています。だから室内は快適なんです。

寝具が湿気ないのは除湿機が設置されているから

S:寒さ対策としては、まずは床暖房ですね。薪ストーブの方が軽井沢のイメージに合うとは思いますが、まずベースに床暖房があってからの話だと思います。

さらに、水道管破裂を未然に防ぐためには “室内を氷点下にしない” ことが重要と、Sさんは語ります。

S:窓ガラスは最低でもペアガラスですね。熱の喪失は実は窓からが1番大きいので。僕の別荘ではトリプルガラスも使っています。3枚のガラスの間に空間があるので断熱効果がより高くなっています。

大きな窓で外の景色を楽しむために、ガラスを二重三重にしている

除湿機、床暖房、ペアガラス。この3つは軽井沢の住まいを快適にするためにはマスト。“軽井沢の三種の神器” と言えるのではないでしょうか。

家に “楽しみ” があれば帰りたくなる

リタイアメントを見据え、ゆくゆくは軽井沢の住まいをメインにして、東京にマンションがあるような二拠点生活を考えているSさん。

S:これからだんだん軽井沢で好きなことをして過ごす時間を多くしていきたいんです。結局のところ、時間が自由になることが一番豊かなんじゃないかと僕は思いますね。

──ではSさんにとってお住まい、家とはどういうものでしょうか。

S:以前、都心のサービスアパートメントを利用していたことがあるんですが、便利さにおいては素晴らしいけれども、つまらなかったんですね。でも横浜の家に帰ると、車だったり好きな雑誌だったり、自分が楽しめるいろいろなものがあるわけですよ。それがあるから『家に帰りたい』と思うんですよ。

──こちらの別荘ではどう過ごされているんですか?

S:朝6時位に起きてゴルフの練習を少ししてから、発地市庭(ほっちいちば)という地元の野菜の直売施設へ向かいます。そこで朝獲れ野菜を買うんですね。それを家に持ち帰って、コールドプレスでジュースにしたり、サラダを作ったり。野菜が美味しいのでドレッシングは、オリーブオイルとバルサミコと塩があれば充分です。

夜になったら、スノーピークの焚き火のセットがあるので、焚き火ができるんです。東京ではそうはいきません。東京で焚き火をしたら消防車が来てしまうじゃないですか。

──楽しいこと満載ですね。

S:そう思うでしょう?楽しくするかしないかは自分自身の問題ですから、自分自身がそうやって動くから楽しいし、活力が出てくるわけですよ。だから住むには “楽しいという事” が重要なんです。楽しみがあって帰りたくなるような家がいい家だと僕は思います。

好きな物、美しいと思う物、楽しいこと。時間を気にせずに過ごせる豊かさ。
Sさんのさまざまな思いが詰まったこの家は、この先ずっと活力の元になってくれるに違いありません。

Text by Kyoko Hiraku
         

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