クラシカルで新しい、熟練の職人が生み出す唯一無二の家具「ポルトローナ・フラウ」
イタリアを代表する家具のラグジュアリーブランドとして世界中にその名を知られる「ポルトローナ・フラウ」。厳選された最高級の革を使用し、伝統的な職人技から生まれる美しい家具は、トレンドの発信拠点である「ミラノサローネ」でも毎年多くの注目を集めています。
名だたる高級ホテルやハイブランドショップの内装だけでなく、高級車や旅客機のラグジュアリーシートも手掛けるなど、さまざまなシーンを華やかに彩る家具は、世界的に高い評価を得ています。今回は、そんな「ポルトローナ・フラウ」の魅力について、ブランドマネージャーの名執豪(なとり つよし)さんにお話を伺いました。
空間をエレガントに演出するイタリア最高峰のブランド
訪れたのは、東京南青山にあるショールーム「ポルトローナ・フラウ東京青山」。店内にはソファや椅子だけでなく、ベッドやインテリアアクセサリーなども展示されています。
──はじめに、「ポルトローナ・フラウ」の歴史について教えてください。
名執豪さん(以下、名執):「ポルトローナ・フラウ」は1912年にイタリア・トリノで創業した家具ブランドです。ブランド名は、イタリア語で「ひじ掛け椅子」を意味する「ポルトローナ」と、創業者レンツォ・フラウの名前を合わせたもので、「フラウの椅子」という意味になります。
名執:レンツォ・フラウは、仕事でイギリスに赴いた際偶然目にしたアームチェアに可能性を感じ、椅子メーカーの創業を思いつきます。その頃のヨーロッパでは、格式高いイギリス製の家具が人気だったのですが、当時のイタリア人にとってはどこか古めかしい印象もあったそうです。
そこでフラウは、イギリスの伝統的な型の椅子やソファにイタリアのエレガンスなデザインのエッセンスをプラスして、イタリアの最高級の革を使って仕上げたのです。これが当時トリノに邸宅を構えていたイタリア王室で大変な評判になり、「ポルトローナ・フラウ」の名が世に知られるようになりました。その後、100年以上にわたって古き良き時代の家具づくりを守り、その時々のトレンドを採り入れながらブランドを発展させてきました。
最高級の革と職人技が織りなす美の極み
──ブランドの特徴はどんなところにあるのでしょうか。
名執:イタリアのエレガンスを表現しているような、曲線を取り入れたやわらかい雰囲気のデザインが「ポルトローナ・フラウ」の家具に共通しています。それを職人が手仕事で丁寧につくりあげているところが魅力なのではないでしょうか。まさに “家具芸術” だと思います。
ブランドのアイコンでもある「チェスター」というソファは、1912年にレンツォ・フラウによってデザインされた歴史的モデルです。英国のクラシカルなスタイルにスタイリッシュなイタリアのエッセンスが加わり、100年経っても色あせることのないデザインですね。現在もマイナーチェンジを重ねながら、さまざまなシリーズが販売されています。肘掛のプリーツ部分が「チェスター」の象徴的な部分で、これは熟練の職人の手でしかつくることができないものです。
──創業当時からの卓越した技術が100年以上にわたって継承されてきたのですね。
名執:その通りです。創業当時につくられたモデルは今でも販売しており、職人技が脈々と受け継がれています。古いものだけでなく、時代に合わせたモダンなデザインの新作も発表していますが、創業時からの手仕事を大切にする精神は変わっておらず、長年培われてきた職人の技術が現代の作品にも活かされています。
このように、時代が変わっても、新作を発表しても、ポルトローナ・フラウに受け継がれてきた精神は全く変わっていません。イタリアのブランドは家族経営の会社がとても多いのですが、「ポルトローナ・フラウ」は家族経営ではありません。経営陣が交代してもブレることなく、大切なものが守られているのは特筆すべきことだと思います。
最高級の革と職人技が織りなす美の極み
──「ポルトローナ・フラウ」といえば高品質の革が知られていますね。その魅力はどんなところにあるのでしょうか。
名執:「ポルトローナ・フラウ」で使用する革は、「ペレ・フラウ(フラウの革)」と呼ばれています。これは言葉で説明するより、みなさんにもぜひ実際に触っていただけたらと思うのですが、革がほんとうにやわらかく、触るととても気持ちが良いのです。また、カラーが豊富なことも特徴で、イタリアらしいエレガントなカラーを約170色揃えています。
──どの色にしようか迷ってしまうほどですね。やわらかさや美しい色を出すために製法にもこだわりがあるのでしょうか。
名執:革の品質については創業時から何よりもこだわっています。厳選した高品質な仔牛革を使用し、特許を取得した独自の製法でつくっています。通常の製法では革に顔料を乗せると硬さが出てしまうのですが、「ペレ・フラウ」は独自の製法によりやわらかさが保たれているのです。
革というと汗や水を吸わず座るとベタついたり、冷たいという印象を持つ方もいらっしゃいますが、革というのは本来動物の肌なので、人の肌と同じようにぬくもりがあり、体温とよくなじむものなんですよ。ぜひ、「ポルトローナ・フラウ」の椅子に実際に座っていただき、やわらかく包まれるような座り心地を体験していただきたいですね。
何年たっても飽きのこない、自然美を活かしたデザインが魅力
──優美なデザインが魅力の「ポルトローナ・フラウ」の家具ですが、日本の住宅との相性はいかがでしょうか。
名執:全く違和感がないと思います。「ポルトローナ・フラウ」の家具はイタリアの歴史的な石造りの建築の中にも、現代的な住居にもマッチする不思議さがありますね。
イタリアの家具というと、マニッシュというか、生活感を感じさせないモダンなイメージを持つ方も多いかもしれませんが、「ポルトローナ・フラウ」は自然の素材による温かい雰囲気を基調としており、人の手によってつくられた曲線美が魅力です。これは私たち日本人の感覚にとてもマッチするものではないでしょうか。
──今後の日本での展開について教えてください。
名執:これからもっと多くの方に「ポルトローナ・フラウ」を知っていただけるように、イベント等も積極的に行っていきたいですね。車好きの方がフェラーリのレザーシートをきっかけに「ポルトローナ・フラウ」を知ってくださったり、有名人の方がお気に入りの椅子としてご紹介くださったりと最近は認知度が高まってきており、家具一式お買い求めくださるお客様も増えてきています。
──ブランデッドレジデンスの計画も進行中だと伺いました。
名執:そうですね。現在、「ポルトローナ・フラウ」初のプライベートレジデンスのプロジェクトが進んでいます。建築家・黒崎敏さんが主宰する「APOLLO」とのコラボレーションで実現した今回の試みは、世界で初めて日本で行われます。
先ほど『日本の建築にも合う』とお話しましたが、それを表現できる機会になるのではないかと思っています。家は、建築と内装や家具がお互いに良い雰囲気をつくりあげるもの。建築というと建物のことばかりに目が行きがちですが、空間づくりには内装や家具も大切なものなんだということを伝えたいですね。
名執:またこのほど、新たなアクセサリーカテゴリーがデビューしました。インテリアアクセサリー、ペットコレクションやスポーツグッズなども揃えており、製品を通じてお客様にライフスタイルを提案していきたいと思っています。これからも“ほんとうにいいもの”を求めるお客様へ「ポルトローナ・フラウ」をお届けできるように、私たちもより積極的に活動していきたいですね。
卓越した品質と時代に合わせたデザインで、100余年にわたって多くの人を魅了してきた「ポルトローナ・フラウ」。その、やさしく身体が包み込まれるようなソファや曲線が美しい家具には、何十年使っても飽きることがなく、どんなインテリアにもマッチする魅力があります。住む場所やライフステージが変化しても自分に寄り添ってくれる、人生のパートナーのような存在になってくれることでしょう。
時代の変化に先駆けて常に新しい挑戦を続けながら発展を遂げてきた「ポルトローナ・フラウ」が、これからどのような進化を遂げるのか、今後の展開に期待が高まります。
名執 豪|Tsuyoshi Natori
ポルトローナ・フラウ ブランドマネージャー
https://www.idc-otsuka.jp/poltrona-frau-tokyo-aoyama/
Poltrona Frau/ポルトローナ・フラウ
100年を超えて受け継がれるアルティジャーノの技に裏付けられた、イタリアを代表するラグジュアリーファニチャーブランド。高級車や旅客機などのラグジュアリーシートをはじめ、ディズニーコンサートホールやイザベラ・スチュワート・ガードナーミュージアム、ホテルや店舗の内装などを手掛けポルトローナ・コレクションは世界中の幅広い人々の支持を集めています。