軽井沢の優雅な時間。別荘族が語る6つの過ごし方
新幹線で都心から1時間。歴史と品格のあるリゾート地、軽井沢で、都内との二拠点生活を楽しむ “週末別荘族” が増えています。そんな方々は軽井沢でどのように過ごしているのでしょうか。現地の事情に詳しいお二人の方に語っていただきました。
今回お話を伺ったのは、地元で生まれ育ち、軽井沢の歴史に詳しく、別荘を持たれている方とも交流が多いKさんと、今年(2023年)軽井沢に別荘を建てられたSさん。
――軽井沢はもともと別荘を代々受け継いで所有されている名家のソサエティーがあると思いますが、昔の別荘族と今の別荘族で違うところが何かありますか?
Kさん(以下、K):かつての別荘族の方は軽井沢に来たら1ヵ月ぐらい滞在して秋に戻っていく、そして次に来るのはまた次の年の夏。そういう方が多かった。けれど、新幹線ができてから “週末別荘族” が増えました。
――昔からの別荘を手放す方もいらっしゃるのでしょうか。
K:いえ、よほどでないと手放すという感じではないですね。おじいさまの代で建てたご家族が代替わりして建て替えるケースもかなり多いです。どちらかと言うと、今までの別荘族と言われている方々に、30〜40代のまだお子さんが小さい方が別荘を持つとか、定住してここから通うとか、そのような流れがプラスされたイメージです。
では最近の別荘族の方たちは軽井沢で何をして過ごされているのでしょうか? これから6つご紹介していきます。
1.地元の朝採り野菜でブランチ
Sさん(以下、S):私の場合は、金曜日の夜に来て次の日は朝から「発地市庭(ほっちいちば)」へ行きます。早く行かないと、人気のある旬の野菜は売り切れてしまう事もあるんですよ。駐車場に停まっている車の半分以上が品川ナンバーなので、私のように週末に来ている人が多いと思います。
S:ここで買った野菜で作るコールドプレスジュースやサラダは軽井沢に別荘があるからこそ食べられる贅沢なブランチです。
2.名門カントリークラブでゴルフ
――軽井沢と言えば、カントリークラブの格式が高いことで有名ですよね。
K:別荘族の方々がメンバーになっている代表的なゴルフクラブは3つあります。「軽井沢ゴルフクラブ」と「旧軽井沢ゴルフ倶楽部」、「中軽井沢カントリークラブ」。どのクラブも名門です。
ゴルフ場のプレー後に立ち寄る人も多いのが、今年(2023年)中軽井沢に誕生した「Prograce Karuizawa」。オリジナル商品やインポート商品などを扱うセレクトショップに、シミュレーション、カフェラウンジ、トレーニングルームを併設するなど、ゴルフ好きのツボを押さえたさまざまなコンテンツが用意されています。
S:あそこはつい入ってしまうんですよね。ゴルフグッズの品揃えもいいし、併設のカフェもよく利用しています。
プロによるレッスンやコンペを開催している他、怪我の予防にリラクゼーション整体メニューを揃えるなど、至れり尽くせり。ゴルフからご縁が自然と広がる注目スポットです。
3.信州ワインを楽しむ
K:別荘族の方はワインセラーを設置されている方が多いです。ご自分のお好きなものを買って保管したいと言う方もいらっしゃれば、専属のソムリエがいる方もいらっしゃいます。
S:今こちらでは信州ワインが流行っていますよね。私がよく行くのが「キリマン酒店」。地元のワインを買って飲み比べるのも軽井沢にいるからこそできるワインの楽しみ方だと思います。
K:信州ワインは総じてレベルも上がってきていますしね。
――軽井沢には、ワインセラーに入れるワインをコーディネートしてくれるサービスもあるんですか?
S:今年(2023年)の夏から三越伊勢丹アイムファシリティーズの別荘管理サービスが始まりました。そのコンシェルジュサービスを利用すれば、伊勢丹新宿店のソムリエを経由して、なかなか手に入らないワインなどもスムーズに手に入れる事ができます。
食通が集まる軽井沢には、こだわりを持ったオーナーシェフの小さなレストランがたくさんあります。そうしたお店からワインに合う美味しいものをケータリングでお取り寄せすることも可能。
S:別荘の手入れや管理だけでなく、文化的なものを提供してくれるサービスです。ぜひ皆さんにもおすすめしたいですね。
4.プライベートな会を催す
軽井沢は人と人の距離が近づく、特別な場所でもあります。
K:ご自分を中心に人の輪を広げるために、ゲストをたくさんお招きして毎年パーティを開く、ワインの会を催すという方もいらっしゃいます。軽井沢は社交場の側面もいまだに強いですよね。
S:都心ではなかなか会えない人とも、お互いに時間のある軽井沢でなら会いやすいんです。
軽井沢で共に時間を過ごした事で、より親交が深まる。そうした “軽井沢マジック” があるのは確か。
S:先日、私の別荘で個人的な知り合いの音楽家の方に演奏していただきました。あまり大ごとにはしたくないので、友人だけのこぢんまりとした集まりです。
音楽家やシェフの友人を別荘に招いて、親しい人たちと特別な時間を過ごす。そんな楽しみ方も都心から1時間の距離の軽井沢だからこそ可能になる贅沢です。
5.芸術に親しむ
――欧米の富裕層にはアートや音楽など文化事業をサポートする人も多いと聞きますが、軽井沢ではいかがですか?
K:軽井沢に別荘を持たれている方で、日本のアーティストがもっと育ってほしいと言う思いで支援されている方はいらっしゃいます。
S:画家のパトロンになっている方も多いと思いますね。
軽井沢はもともと美術館やギャラリーが多いエリア。すでに評価の定まっている世界的な画家の作品に触れる機会も豊富です。
2022年にオープンした「軽井沢安東美術館」は、世界で初めてエコール・ド・パリの画家、藤田嗣治の作品だけを展示する私設美術館。創設者である安東夫妻が軽井沢の画廊で手にした最初の1枚から始まったというコレクション200点以上を所蔵しています。
6.何もしない
――昔の別荘族の方は『何もしないのが軽井沢』だとおっしゃっていたそうですね。
K:小さいころから、そういう別荘族の方をよく拝見していました。当時はアウトレットもないし、レストランも多くはない。『長期間のご滞在中、何をして過ごされているのだろう』と疑問に思っていたんですけれど、年齢を重ね、段々とそのような過ごし方が理解出来るようになってきました。
K:(今の別荘族の方は)東京にいらっしゃると、みなさんスケジュールがみっちりなんですよ。週末でこちらに来たときに、何かをする目的も特になく、東京では作れない自分の時間を自由に過ごす。何もしないで過ごしてもいいし、何か好きなことをやってもいいし、それが結果的に豊かな時間の過ごし方になっているように思います。
――生活しているだけで楽しいということでしょうか?
K:やっぱり時間なんでしょうね。時間に追われず、自由に過ごせるということだと思います。
“一度過ごすとファンになる” 軽井沢の魅力とは?
最後に軽井沢が愛され続けている理由についてお伺いしました。
K:友人の別荘に泊まってみたら『自分も欲しくなっちゃった』という話をよく聞きます。また、代々持っていらっしゃる方は、子どものころにおじいさまや両親に連れられて1ヵ月過ごしたというのがすごく特別な思い出になっている。それを自分の子どもにも経験させてあげたい。だから、建て替えようとか、自分も新しく建てようと思われるようです。
S:一度、軽井沢で過ごされた方はファンになる。実際に過ごしてみて、初めてわかる趣というのがあると思うんですよね。
K:それが時間を経てどんどんつながっていくという感じを受けます。
外から見ているだけでは表面的な華やかさに目を奪われがちな軽井沢ですが、朝起きて窓を開けたら鳥が鳴いている。風が気持ち良い。そういう些細だけれど、かけがえのない経験こそが軽井沢の本来の良さなのだと、深いお話が伺えました。
みなさんも、この機会にあらためて軽井沢に訪れてみてはいかがでしょうか?
次回は、今年(2023年)夏に完成したSさんの軽井沢の別荘をご紹介します。どうぞ、お楽しみに!
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